読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【映画感想文】【洋画】 デヴィッド・ザッカー/最'狂'絶叫計画 【2004年公開】

 シリーズ第三弾。

 ザ・リング、サイン、8 Mileのパロディがベースで、そこにマトリックスロード・オブ・ザ・リングが挟まってくる感じ。

 中盤まではげらげら笑えたんだけれど、監督が変わった影響で下ネタ系がほとんど消えてしまい、結構真面目な内容の映画になったという感じで、物足りなさはすごくある。しかしWikipediaによると一作目二作目より興行収入は上がっているようなので、一般的にはこちらのほうが評価されているのかな。

 当然のことながらパロディ映画なので、元ネタを知っていないとまったく面白くない。僕はロード・オブ・ザ・リングを観ていないので、パロディがあったことすらわからなかった。

 手堅く作ったせいで、ぶっ飛んだ馬鹿馬鹿しさが消えたのは残念だな。

 スタッフ・ロールもちゃんと観たほうがいい。エンディング曲が笑える。


【相変わらずアンナ・ファリス可愛すぎ度】                  ★★★★★
【サイモン・レックスはいい俳優なのにあまり活躍していないのが残念だな度】  ★★★★★
【ていうか二作目観ずに三作目観たせいで分かりづらかったのかと今気づいた度】 ★★★★★

【総合                                   ★★★☆☆

【漫画感想文】 二〇一七年 二月分

椎名軽穂君に届け 二十八巻
 おそらくあやねちゃんとピンは付き合わないんじゃないかなぁ。 初お泊りでキスだけかよ、風早!

岸本斉史NARUTO 二十一巻
 サスケ奪還。チョウジのお話。燃えるね。

鏡貴也山本ヤマト終わりのセラフ 一巻
 面白い。吸血鬼が支配した世界で吸血鬼ハンターになるというのはありふれた話だが、そこに復讐の話を織り交ぜて。ラストは、まあこうなるだろうなとは思った。

鏡貴也山本ヤマト終わりのセラフ 二巻
 新たな仲間、君月と争う優。途中からどうなることかと思ったが、なかなかにアツい展開。

鏡貴也山本ヤマト終わりのセラフ 三巻
 盛り上がってきた。三葉のキャラがいいね。しかしキャラ設定に加えて武器が刀だと、某BLEACHを思い出すな。

鏡貴也山本ヤマト終わりのセラフ 四巻
 立場の違う優とミカ。どちらも相手を助けようとしている。そして優の覚醒。どうなるのやら。

西森博之/柊様は自分を探している 一巻
 面白いっちゃ面白いんだが、盛り上がりに欠けるなぁ。

西森博之道士郎でござる 新装版 一巻
 あれっ? 面白いじゃない。西村氏は天使で才能が枯れたと思っていたが……。 キャラクターがよいギャグ漫画。

小沢としお/Gメン 四巻
 丸々雨宮先生のお話。LGBTもそうだが、こういうネタを真面目にやるところに、他の不良漫画との違いがある。なにはともあれ、主任頑張れ!

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 一巻
 熱血川藤が体当たりで野球部を更生させる。 山椒魚の話は重い。変わろうとする者と、変わるのが怖い者。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 二巻
 メンバーがかなり集まり、練習試合も決定。 問題は安仁屋と新庄……。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 三巻
 川藤と安仁屋、若菜と桧山、関川と新庄という三つの見せ場に、初試合。 さて、どうなるか。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 四巻
 ワン・フォア・オールですな。 毎巻毎巻感動しちゃうなぁ。年取って涙腺がおかしくなったか。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 五巻
 喫煙の問題。スポーツやるならなぁ。福原と新庄。あついです。んで、キツい女教師。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 六巻
 目黒川との試合。面白いなぁ。ワクワクする。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 七巻
 またまた川藤暴走で、目黒川の闘志に火がついた。 孤立する江夏はどうなる……?

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 八巻
 試合終了。真弓先生可愛いな。藤田先生はちと苦手……。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 九巻
 新入生が入ってきた。野球部は以前のイメージしかなく、狙われることになる。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 十巻
 笹崎劇場。かなりアウェイ。ネットや様々なところで中傷されるわ、濱中は馬鹿だわ……。 試合開始!

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 十一巻
 うーむ、笹崎に勝てるのかニコガクは!?

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 十二巻
 濱中がなんだかんだ頑張ってる。 川藤は川上の行動を無視した千葉監督に文句を言う。本当にこの人は……w

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 十三巻
 笹崎との試合の次は、宿敵目黒川。 しかしたくさんの問題を抱え込んでいる。 物語の展開が早いので、もうこの頃から、週刊連載は無理だと感じていたのかな。

森田まさのり/ROOKIES 文庫版 十四巻 完
 完結、と。 せっかくラストが目黒川なのに、目黒川側はなにも描かずに終わらせて、最後はダイジェスト。作者がもう無理だと思ったんだろう。 それでも十分に感動したし、最高の漫画だと思った。

古谷実わにとかげぎす 一巻
 わにとかげぎすから、おじさん主人公に変わったかな? 友達が欲しい警備員の富岡に馬鹿な部下ができて、隣人が近づいてきて……。 面白い!

古谷実わにとかげぎす 二巻
 古谷実氏お得意の、日常から一気に非日常へ叩き落とすバイオレンス! ショット・ガンはやばすぎでしょ。

古谷実わにとかげぎす 三巻
 う〜む、可哀想な結果になっちゃったけれど、変わるためには必要なのかな。

古谷実わにとかげぎす 四巻 完
 まあ結局は、いろいろあったけれど終わりよければなんとやらだね、という感じかな。 富岡さんと羽田さんのこれからも読んでみたいな。

福本伸行/アカギ 一巻
 アカギ完結、そしてカバーが新しくなったので、これを機に集めようかと……。 いやあ、面白い! アカギと八木のバトル。

福本伸行/アカギ 二巻
 盲目市川とのバトル。持ち点がもう二千点しかない状況で、どうするアカギ!?

福本伸行/アカギ 三巻
 自分にはできない打ち方だなあ。相手のサマを読んでるわけだからなあ。 とりあえず一部終了的な。

福本伸行他/中間管理録トネガワ 三巻
 二巻ほど爆笑する話はなかったが、面接の話など興味深い内容で楽しめた。

リチャード・ウー・コウノコウジクロコーチ 一巻
 コウノコウジ氏はアウト・ロー以来久しぶりで。絵は相変わらずはっきりとして綺麗。背景はPCになったようで、少し残念。警察の闇を描くストーリーはテンポよく進み、とても読みやすく面白い。

リチャード・ウー・コウノコウジクロコーチ 二巻
 すごく面白い。過去の未解決事件を入れながら、物語がどんどん深くなっていっている。これから一体どうなるのだろう?

リチャード・ウー・コウノコウジクロコーチ 三巻
 桜吹雪会、度を超えた暴力組織だな。次は火あぶりだって!?

リチャード・ウー・コウノコウジクロコーチ 四巻
 越後検事の高潔さ、そして黒河内の男気。ラストがキツい。沢渡なんかを……どうして?

漫☆画太郎/世にも奇妙な漫☆画太郎 三巻
 面白い。反抗期が悲しすぎる。 一話完結で外れなし。

漫☆画太郎/世にも奇妙な漫☆画太郎 四巻
 わらってごらん、久々に読んだがやはりいいな。 セーブボタンが面白かった。

漫☆画太郎/世にも奇妙な漫☆画太郎 五巻
 一冊で一話のような、実験的な巻だった。笑えた。

漫☆画太郎/世にも奇妙な漫☆画太郎 七巻 完
 完結。ラスト前後編がとてもよかった。

綱本将也ツジトモGIANT KILLING 十一巻
 ETU、好調。メンバーも様々思うことがある中、東京ダービーが始まる!

綱本将也ツジトモGIANT KILLING 十二巻
 アツいアツい!!! 東京ダービー最高に盛り上がるな。復活した持田がどう出るか?

花沢健吾アイアムアヒーロー 二巻
 やりたいことはわかるし、動画のようなコマ運びは面白いが、 キャラと背景が同化しすぎてわかりづらい。まあそれをやりたいんだろうが。

花沢健吾アイアムアヒーロー 三巻
 危険な状態なのにも関わらず、きちんと金を払ったり謝罪するところに英雄の人間性がよく出ている。そして新キャラ。これからどうなるか。

花沢健吾アイアムアヒーロー 四巻
 比呂美ちゃんと樹海探索。物語の展開が遅すぎて疲れてきた。

花沢健吾アイアムアヒーロー 五巻
 確証のない噂に惑わされ、流されてゆく。かなり現実的だね。おじさんが仲間に。

花沢健吾アイアムアヒーロー 六巻
 舞台は御殿場アウトレットモールに。なんだか七面倒臭くなりそう……。比呂美ちゃんが物語の鍵に。

花沢健吾アイアムアヒーロー 七巻
 どんどん失速してゆく……。人間模様なんてゾンビもので使い果たされているし、一巻の面白さが消えている。……一応読み続けるかな。

【映画感想文】【邦画】 北野武/キッズ・リターン (二度目) 【1996年公開】

 あれ……一度目の鑑賞時はなんとも思わなかったのに、なんとなくもう一度観てみるかと再生したら、ラストまでのめり込んで観てしまった。

 教師からも見放された、チンピラの金子賢演じるマサルと安藤政信演じるシンジが、かたやヤクザの世界、かたやボクシングの世界でのし上がってゆく話。ストーリー自体はかなりわかりやすく作られているので、割りと誰でも楽しめると思う。

 そんな中に、駄目駄目なジムの先輩やら、喫茶店の女性店員に恋する男子高校生やら、ヤクザの厳しい世界のお話やら、同じような不良三人組やらを混ぜ込んでいる。

 印象に残ったシーンは、寺島進演じる若頭とマサルがラーメン屋で言い合うシーン。
「ガキにビール飲ましちゃいけねえ法律でもあんのか?」 とマサルが啖呵を切り、若頭がちょっと考えて、「……あるじゃねえかよ!」 と突っ込むシーン。

 石橋凌演じる組長があっさりと銃で殺した後、津田寛治演じる子分であるカズオに銃を渡し、「これ持ってちょっと交番行って来い」と言うシーン。

 シーンではないが、柏谷享助演じる純朴少年ヒロシと、大家由祐子演じる喫茶店の女性店員サチコのお話はなかなかに興味深かった。解説系の文章を読んでようやく気づいたが、まさか☓☓☓のシーンが◯◯◯だったとは……。

 ていうかサチコ可愛すぎな。マジで。

 ラスト・シーンは、言わずもがな。いろいろ考えて、思って、呆然としてしまった。まあ、実際の人生なんて、ハッピーなことばかりじゃないんだよなあ。


大家由祐子演じるサチコめっちゃ可愛いな度】 ★★★★★
【いやマジでサチコ可愛いな度】        ★★★★★
【観直してもやっぱサチコ可愛いな度】     ★★★★★

【総合】              文句なし ★★★★★

【映画感想文】【洋画】 ポール・T・シュアリング/エクスペリメント 【2010年公開】

 スタンフォード監獄実験という、金で集められた人を看守と囚人に分け、その役割に従って二週間生活してもらうという実際にあった実験。

 そしてその実験を映画にした、esというドイツ映画のリメイク版。

 esを最後に観てもう十年以上経っているのであまり覚えていないが、リメイク版のエクスペリメントの方が暴力描写が酷かったと思う。

 人間の心理というのはよくわからないものであり、そしてとても脆いものだと思った。

 看守役は看守になりきり、囚人役は囚人になりきってしまう。

 チェイス役って誰かと思ったら、The O.C.のヴォルチェック役だったのね

 なかなかに凄惨な映画だが、観ておいて損はしない。役者がいい味だしている。

 チェイス役って見たことあるなと思ったら、The O.C.のヴォルチェックだったのね。

【本元もリメイク版もどちらも出来がいいという珍しいリメイクだな度】 ★★★★★
【徐々におかしくなってゆくのがホラー映画よりホラーしてる度】    ★★★★★
【唯一の女性があまり可愛くない度】                 ★★★★★

【総合】                              ★★★★★

【ドラマ感想文】【邦】 リーガル・ハイ 続き

 なんとなく続きを観ないで、五ヶ月以上経過していた。かなり面白いが、観ていて疲れるので。

第六話
 芥川龍之介賞作家とキャスターの不倫騒動。そこに新たなキャラクター、圭子・シュナイダーが古美門の相手となり……。

第七話
 犬神家の一族のパロディで、三兄弟の内誰が遺産を相続するか……。かなりよくできたストーリーだと思う。

【読書感想文】【小説】 村上春樹/女のいない男たち

 六編からなる短編集。一つ一つ感想文をつけていこうと思う。
 しかし、短編のいいところは、一気に物語に入り込んで、一気に終わる、この短い間の没入具合がの気持ちよさだよね。


ドライブ・マイ・カー
 設定が面白いね。個性派俳優の家福が、一時的に運転をやめたので、運転手を探した。娘ぐらいの女性で、愛想がなく、喫煙者の渡利みさき。しかし運転の能力は高い。
 家福は嫁を病気で失くした。家福と嫁の関係は良好だったが、嫁は数人の男と寝た。そしてそれを家福は知っていた。しかし、なぜ他の男と寝たのか、という理由を聞く前に亡くなってしまった。
 そして家福は、嫁と寝ていた一人の男と仲良くなる。

 という話を、回想として、運転手のみさきに話す。

 なんだろうな、ただそれだけの話なのに、読ませるんだよね。寝ていた男とのサシ呑みのシーンはハラハラしたし、家福とみさきの会話――と言っても、みさきは愛想がないので、家福が一方的に話すだけだが――シーンもすごくよかった。
 こういう何気ないシーンを書くのが本当に上手い。しかし、今までは好きだった、春樹氏的会話文が、最後の最後でちょっとだけ鼻についた。


イエスタデイ
 僕は、東京生まれなのに、関西弁を完璧に使いこなす木樽という男と知り合う。木樽には美人な彼女がいたが、幼少時からの付き合いなので、どうもキス以上の関係になれない。そんな木樽は、僕に、彼女と一度デートしてみてくれ、とお願いする。

 この話は、いつもの村上春樹的短編という感じがする。設定が先にあって、話の展開は流れにまかせ、特別なにかが起こるわけでなく、たくさんの謎を残したまま終わる。もう何度も何度も読んだパターンなのに、物語にただよう空気感がとてもいい。読後感が気持ちいいね。


独立器官
 ジムで、渡会という美容整形外科医と会い、仲良くなる。渡会は患者である、主婦に恋をしていて、そのことなどを二人で話し合う。

 恋煩いのお話。渡会は五十歳を超えて、金だってたくさんあるのに、独身を続けていた。数人のガール・フレンドと交際していた。その中の一人に没入してしまう、という話で、一人の女性に虜になるなんていうのは、珍しい話じゃない。後半からの渡会の顛末なんていうのも、すごくあり得る話。
 あんまり楽しい話ではない。


シェエラザード
 なんらかの理由により外へ出られない羽原には、外からやってくる女性に食料品の買い出しやDVDや本といった娯楽を買ってきてもらい、生活をしている。
 今は、羽原がシェエラザードと名付けた女は、買い出しの他にベッドの中の世話もしてくれる。毎回行為が終えると、嘘か本当かわからない話をする。
 十七歳の時に好きになった男子高校生の家に侵入していたという話がメイン。最初こそ侵入が男子高校生や家族に知られないようにしていたが、徐々に大胆になってゆく。

 さっぱり意味がわからないのに、読後感がすごくよい。相変わらず結末もよい。二年後にシェエラザードがストーカー対象の男に再会したという話の続きが気になる。羽原の生活設定は、最後まで明らかにされないまま……。でもそれが春樹氏的でいいよね。


木野
 叔母から譲られた一軒家を改装し、木野という名前のバーを開く。寡黙で読書が趣味のカミタという常連客と、いつの間にやら住み着いた猫が主な客。木野は離婚をし、静かにバーを経営している。

 この短編集で一番の盛り上がりを感じた一編。途中から怒涛の春樹氏節が波のようにやってきた。日常が非日常になる。これだから読むのをやめられない。
 感情を殺さずにそれに従い、怒り、そして悲しみ、自分を出さねばならないということなのだろうか……。


女のいない男たち
 一番短い話。話というよりも、まとめのようなもの。あらすじともとれる。
 昔付き合った元彼女の旦那から、元彼女が自殺したと知らされる。

【読書感想文】【小説】 石田衣良/池袋ウエスト・ゲート・パークⅫ 西一番街ブラックバイト

 再始動が嬉しい。一つづつ感想文をつける。


西池第二スクールギャラリー
 マコトの元に、同級生のサエコがやってくる。サエコは和菓子屋岡久の一人娘で、使われなくなった小学校をギャラリーにしている。そこに置かれていた、小門屋という男の作品を何者かに壊されたので、その犯人を突き止めて欲しいと頼む。

 小門屋の設定がよかった。三十歳まで建築現場で働き、三十歳の誕生日の日に、自分の誕生日を祝ってくれる人もいない。このまま歳を重ねていくだけの人生は嫌だと、小学校時代に唯一褒められた工作でなにか結果を出したい、と考えている。
 最初は三年間だけという期間を決めていたが、気づけば九年経ち、三十九歳。

 流れを読んでいく内に、おそらく今回のオチはこうじゃないか? とぼんやり思っていた。しかし全然異なる方向からそれはやってきた。

 流れるような、必要最低限だけの無駄のない文体と内容は十二巻目でも変わらず。とても面白かった。


ユーチューバー@芸術劇場
 マコトの元に、ユーチューバーの140★流星がやってくる。過激派ユーチューバーの戸田橋デストロイヤーZの集団が、140★流星をターゲットにし、三周年記念の動画撮影を台無しにしてやる、と脅迫する。それを解決するのが今回のお話。

 短いのに読み応えはたっぷりだった。
 ユーチューバーを安易に批判するような内容ではなく、認めつつも、考え方が違う程度に押さえている。
 140★流星の、ユーチューバーとして生計を立てる大変さも入っている。

 そしてなにより、話が二転三転する。やっぱりミステリのシリーズなんだなと思わせる。
 タカシらGボーイズも活躍するので、タカシのファンもお楽しみに。


立教通り整形シンジケート
 マコトの元に、絶対にマスクを外さないスズカという美女がやってくる。ストーカーの被害にあっていると相談を受ける。そこへ、ゲイの美容院の店長、整形被害の話が絡んでくる。

 同じくかなり短い。しかし中身は濃い。
 単なる整形被害ではなく、女性のコンプレックスを食い物にし、整形中毒に仕立て上げ、金を巻き上げる。

 そしてそこへ、スズカのストーカーが絡み、物語は盛り上がる。


西一番街ブラックバイ
 マコトの耳元に、破格の安さを売りにするOKという外食店数件の売り子の叫び声が入る。そこで働くマサルという若者に会い、OKの凄惨なブラック内情を聞く。同時にタカシから、「OKに入社したGボーイズから苦情が殺到している」という話が入る。
 ある日、飛び降り自殺の現場に遭遇する。その若者は、マサルの地元の後輩で、マサルがOKへの入社を勧めたミツキという若者だった。
 そこから、マコトとタカシ率いるGボーイズ、バイクのひったくり犯、OKというブラック企業とどこにも属さない武闘派の集団と、物語が交錯してゆく。

 タイトルのお話。四つの中で一番長い。しかも今回の敵は、池袋にチェーンを広げ、慈善事業にも手を出す大手企業。
 個人的に、一番盛り上がる話だった。様々な人物や立場がイ力んでいるのに、相変わらずのスマートな文体で読みやすく、それぞれのキャラもきちんと立っていて、徐々に膨らみを増す物語を追うように頁をめくっていた。

 やはり池袋シリーズはスタイリッシュで爽快感があり、テンポもよく、キャラも立っていて、本当にエンターテイメントの見本のような作品。

 そして気づいた点が二つ。

 一つは、シリーズのどの話にも、マコトが読み手に、「あんた」と呼びかける場所がある。たったそれだけの言葉で、物語に没入するリアリティを与えている。読者は今まさに、マコトと一緒に事件を追い、マコトと一緒に思考をこねくり回し、マコトと一緒に事件の解決を見届ける。
 この爽快感がたまらない。

 もう一つは、いつまでたっても彼女の出来ないマコトがなにかあるたびにタカシといちゃいちゃするのは、腐女子ウケを狙っているのではないだろうか、という点。