読書感想ブログ

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【読書感想文】 村上春樹/辺境・近境 【2000年刊行】

【概要】Wikipedia引用)

 1990年8月から1997年5月の間に巡った7つの旅(下記)について綴られている。旅ごとに題が付けられ、冒頭では執筆の背景が簡潔に述べられている。

イースト・ハンプトン 作家たちの静かな聖地
 1991年秋、ニューヨーク州ロングアイランドにあるイースト・ハンプトンを訪れた際の紀行。

無人島・からす島の秘密
 1990年8月、新潮社の雑誌『Mother Nature's』に掲載するために山口県無人島を訪れた際の紀行。

メキシコ大旅行
 1992年7月、『Mother Nature's』に掲載するためにメキシコを約1ヶ月巡った際の旅行記。そのうちの10日間ばかりはアルフレッド・バーンバウムと共に旅をした。

讃岐・超ディープうどん紀行
 1990年10月、文化出版局の雑誌『ハイファッション』に掲載するために香川県を訪れた際の主に讃岐うどんに関する紀行。安西水丸と行程を共にしており、作中には安西の挿絵が入っている。

ノモンハンの鉄の墓場
 『ねじまき鳥クロニクル』第1部、第2部を刊行し、作中でノモンハン事件を取り上げた事で、文藝春秋の雑誌『マルコポーロ』に声を掛けられ、1994年6月に中国及びモンゴルを訪れた際の紀行。

アメリカ大陸を横断しよう
 1995年6月、新潮社の雑誌『SINRA』に掲載するため、アメリカ合衆国東海岸にあるボストンから車で西海岸にあるロサンゼルスまで、一部カナダを経由し、2週間以上をかけて巡った際の紀行。

 神戸まで歩く
 唯一雑誌に未掲載の文章。1997年5月に村上春樹の郷里である西宮から神戸の三宮までを2日間に渡って歩いて巡った際の紀行。


【感想】

 やっぱり紀行文は面白いね。村上春樹氏はあとがきで「今では海外旅行に行くというのはそんなに特別なことではありません」と書いてあるが、住んでいる区から出たくない・そもそも金がない・そして時間もない・知らない場所に行きたくない僕みたいな人間からすれば、とても興味深くてわくわくしてはらはらドキドキして本当に楽しい。

 特に僕が気に入ったのは、メキシコ大旅行・うどん紀行・神戸まで歩くの三編。メキシコ大旅行は辺境も辺境、死がリアリティを持っている危険な場所を歩く。かと思えばうどん紀行では本場香川県でのほほんとうどんをすすり、震災から二年後の兵庫県を歩き思ったことを述べる。

 とてもヴァラエティに富んでいて、どれもこれも飽きさせない。シリアス一辺倒というわけではなく、笑えるものも多い。無人島で夜になって大量の虫に襲われるところは、笑いながらも虫の気持ち悪さに背筋がぞぞぞぞっとした。


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