【読書感想文】 中村文則/迷宮 【2015年刊行】
【概要】
さて、今をときめく中村文則氏の迷宮。
あらすじ(Google Books引用)
密室状態の家で両親と兄が殺され、小学生だった彼女だけが生き残ったその事件は「僕」が12歳の時に起きた。「僕」は事件のことを調べてゆく。「折鶴事件」と呼ばれる事件の現場の写真を見る。そして...。巧みな謎解きを組み込み、エンタテインメントをのみ込む、渾身の長編。
【感想】
中村文則氏の小説はこれまでいくつか読んだが、一つのテーマに別の様々な角度から真面目にぶつかって真面目に悩んで真面目に書いているな、という印象。
罪と罰のラスコーリニコフみたいな主人公がウンヌンカンヌンと考えに考え、悩みに悩んでいるから、当然お話は暗い。「暗さこそが文学である」と思っている人にはとてもグッドな本だと思う。
折鶴事件の不気味さ、相変わらずよくわからない行動をとる主人公、闇を抱えたヒロイン、そして読みやすく頭に入ってきやすい文章で、グイグイグイグイ読ませる読ませる。面白い面白い。
これってあれだよね、ミステリだよね。落ちは「う、うん」という感じだったけれど、まあ予測不能な落ちを期待しているわけではないのでマイナスではない。
ここまでなら満点のはなまる、「大変よくできました!」をあげるところなんだが、が、が、が。
全部解明した落ちの後に、延々主人公がクッソどうでもいいことぶつくさぶつくさ言ってるの、ただただ読むのがだるかったんですけれども!!!
あとは「銃」とか「去年の冬」とか積んでるから、いつか崩そうっと。