読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 村上春樹/「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? 【2006年刊行】

【概要】

 言わずと知れた村上春樹氏の「村上朝日堂ホームページ」をまとめた書籍。および海外の読者との質疑応答。


【内容紹介】 (Wikipedia引用)

 2000年8月に刊行された『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』の続編である。
 1996年6月4日から1999年11月19日まで更新されていた「村上朝日堂ホームページ」からの抜粋である。
 内容は『CD-ROM版村上朝日堂 夢のサーフシティー』および『CD-ROM版村上朝日堂 スメルジャコフ対織田信長家臣団』と重複する。ただしここに掲載された台湾と韓国の読者との質疑応答は、本書でしか読むことはできない


【感想】

 台湾と韓国の読者との質疑応答と日本の読者の質疑応答の違いというかなんというか、とても興味深い。

 たくさんある質疑応答の中でこれはと思ったものを引用する。

 質問117 (82頁)
 私は大学で英米文学を勉強していましたが、あの頃はほとんど本を読みませんでした。
 というのも訳されたものに何か違和感があって好きではなかったからです。
(中略)
 こんな私に楽しい外国文学の読み方を教えてください。

 回答
 小説というのはお勉強ではありませんので、読みたくないものは読まなくてもいいのです。誰かが「これは読まなくちゃだめだよ」と言っても、それは他人の意見であって、あなたはあなたの読みたいと思うものを読めばいいのです。「違和感」があるのなら、それでいいと僕は思います。
 そのうちに「何かの機会があってちょっと読んでみたら、これが面白くて……」ということがあるかもしれません。そういうハッピーな出会いを、気楽に期待しておられるのがいちばんいいのではないでしょうか?


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【読書感想文】 高橋源一郎/お釈迦さま以外はみんなバカ 【2018年刊行】

【概要】

 言わずと知れた高橋源一郎氏の書評本。


【内容紹介】 (インターナショナル新書HP引用)

 震災の時も酒のことしか頭にない落語家/ラブホスタッフによる文章指南/大阪おばちゃん語で憲法を表現すると/名作を2秒で読めるか?/偶然57577になった文章……。
 稀代の読書家である作家だからこそ見つけられた、思わず唸る表現や、クスッと笑えることばの数々。書いた本人さえも気付いていない、秘められた意味まで深掘りしていく。
 NHKの人気のラジオコーナー「源ちゃんのゲンダイ国語」の活字版。本書を開けば、新しい発見があること間違いなし!


【感想】

 氏がMCを務めているラジオすっぴん! は毎週自動録音にしてiPhoneに入れて移動中などに聴いているが、ただ耳に入れているだけで聴いていないということがなくはなかった。それと氏の書評が大好きなので、書籍化と聞いてすぐに購入し読んだ。

 ドトールで読んでいたが、笑えて笑えて仕方がなかった。ひとつひとつ引用して感想を書こうと思ったが、そうすると所見でのインパクトが弱くなってしまうのでやめておこう。

 オジー・オズボーンの人生相談は本当に笑った。普段絶対に手にとることがないであろう本ばかりが紹介されていて、とても興味深く一気に読んでしまった。


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【読書感想文】 村上春樹/「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? 【2000年刊行】

【概要】

 言わずと知れた村上春樹氏の「村上朝日堂ホームページ」をまとめた書籍。および海外の読者との質疑応答の第一弾。


【あらすじ】

 なし。


【感想】

 最近文庫化された村上さんのところと同じく、読者からの質問に氏が答えている。インタビューなどでは訊けないような質問もあり、とても興味深く読むことができた。
「村上作品の文庫に解説がないのはどうして?」みたいな質問から、「アンダーグラウンドはああいうかたちではなく小説にすべきだったのでは?」という質問、「村上さんは性欲が強いか?」なんていう笑ってしまうような質問まで豊富にある。
 こういうのは、すべての質疑応答を読むぞーと気合を入れるのではなく、面倒だったり興味のないものは斜め読みにしながら気軽に楽しむものだと思う。


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【読書感想文】 平山夢明/独白するユニバーサル横メルカトル 【2006年】

【概要】

 言わずと知れたホラー作家平山夢明氏の短編集で、日本推理作家協会賞受賞作。


【内容紹介】 (光文社ホームページ引用)

 タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。
 学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。


【感想】

 予想を裏切られました。悪い意味で。積読棚から手にとってカバーを外して青い合皮のカバーに差し替える時が一番わくわくしていた。
 だって、もういろいろなところで残酷だグロいだエグいだなんだと言われていたから、きちんと覚悟してから読まないと駄目だと思って。

 短編が八編あるわけですが、まあ最初のニコチンと少年は「ほー、なるほどね」という感じだった。
 二作目のΩの聖餐は「おー、いい落ちだ」と思った。
 そして続無垢の祈り。これはかなりの問題作らしいが、映画化されている。「あら、ハッピー・エンドなのね」と。
 オペラントの肖像、面白くないのでスキップ。
 卵男、退屈なのでスキップ。
 すさまじき熱帯、興味がわかないのでスキップ。
 表題作の独白するユニバーサル横メルカトル、キーボードかなり汚くなったから買い換えないとなぁ。
 怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男、来月アパートの更新だからいろいろと手続きが必要だなぁ。


 期待外れも期待外れ。グロいとかエグいとかどうでもいいから、もっと救いようのなさが欲しかったなぁ。あと文章がちょっとね。


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【読書感想文】 高橋源一郎/ゆっくりおやすみ、樹の下で 【2018年刊行】

【概要】

 言わずと知れた高橋源一郎氏の初の児童文学。


【内容紹介】 (朝日新聞出版ホームページ引用)

 夏休み! 小学5年のミレイちゃんが、鎌倉の「さるすべりの館」で、バーバと犬のリング、ぬいぐるみのビーちゃんと過ごすひと夏の物語。
 さるすべりの館には、潜んでいた過去の謎があった。赤の部屋には何があるの? なぜ止まっていた時計がとつぜん動き出した? 緑の部屋にある肖像画はいったい誰?
 そしてミレイちゃんは、赤いさるすべりの樹の下で、ついに大切な人に出会う。かけがえのない何かを見つける、著者がやさしく柔らかな文章で、精魂をこめた物語。朝日小学生新聞 2017年7月1日から9月30日まで連載。著者にとってはじめての、小学生から大人まで楽しめる長篇小説。今日マチ子さんの絵も90点収録。


【感想】

 氏の新刊が出るとのことなので、予約して購入し、少しづつ読んだ。

 よく考えてみたら、児童文学を読むのは小学生以来かもしれない。小学校の図書館でいつもなにかしら借りて読んでいた。父親が、「卒業までに図書館の本全部読んだら小遣いやるわ」とか言っていたのを思い出した。

 まあそれはどうでもよくて、なるほど児童文学というのは、子どもが読むに適した本なんだなと当たり前のことを思ってしまった。
 同年代の小学五年の女の子が、夏休みに初めて祖母の家に遊びに行く。そこでたくさんの不思議と出会う。謎もいっぱい。
 老犬リングと森を走り回って。

 新聞連載なので、一回が三頁で終わっているところもいいね。寝る前に一回を読むぐらいでちょうどいい。読み聞かせも三頁なら負担もないだろうし。

 少しづつ読んでいたが、後半はまさかの展開で一気に読んでしまった。ちょっと感動したなぁ。戦時中の様子も子どもにわかりやすく想像しやすく描かれており、とても好印象。

 特に第六回の「完璧に幸せな家なんてどこにもない」にはとても感動させられた。その前に主人公であるミレイちゃんの両親がミレイちゃんをどれだけ愛しているかを描く。読んでいる子どもが自分の両親とミレイちゃんの両親を頭の中で比べることを想定しての第六回。う~ん、いいですね。


 児童文学ですが、三十を過ぎたおっさんでも感動しました。おすすめします。


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【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 外伝 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れた中場利一氏の自伝的小説シリーズ岸和田少年愚連隊の第五弾。
 これまでとは異なり、掌編が収められている。


【あらすじ】 (文庫本裏表紙引用)



【感想】

 相変わらずおもしろい。掌編なのでサクッと読めるし、サクッと笑えてサクッと興奮させてくれる。
 ヤンキー映画やヤンキー漫画と同じく、読み終えた瞬間は自分がなんだか強くなった気になる。

 チュンバ小鉄、サンダ、ガイラ、定、カオルちゃん、イサミちゃん、そしてリョーコ。お馴染みのキャラクターたちが縦横無尽に暴れまわる。

 まあ自分自身であるチュンバを格好よく描いているのは少し鼻につくが、まあたしかに格好よいのでそれはそれで。あとは完結篇とその後のでシリーズ終わりか。

 あ、あらすじは感動しました。笑わせて興奮させるだけでなく、ほろりとさせる中場利一氏の上手さにはいつも感心させられる。



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【読書感想文】 さくらももこ/まる子だった 【2005年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏のエッセイ第二弾。通算第五弾。


【あらすじ】 (文庫本裏表紙引用)

 クラスメイトと体育館の裏で飼った仔犬との別れ。教室で襲われた“伊豆群発地震級”の腹痛の恐怖。突然、広まった、はまじとの恋のウワサ。
 ノストラダムスの大予言におびえた日々。憧れのモモエちゃんのコンサートで渡したファンレター。
「まる子」だったあの頃をふりかえる、懐かしさいっぱいの桃印エッセイ。爆笑シリーズ第二弾は、糸井重里さんとのお楽しみ対談つき。


【感想】

 立て続けに読んでいると飽きてくるね。最初のあたりは面白かったが、もういいかなと。なのでももこの話はしばらくあとに読もうと思う。
 タイトル通り、まる子だった頃を描いている。が、もうネタ切れじゃないかなと思ってしまった。それはさくらももこ氏のエッセイに慣れてしまったからなのかもしれない。
 笑えるししんみしりするしで好きなシリーズであるが……。
 対談は読んでいない。



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