【読書感想文】 東野圭吾/あの頃の誰か 【2011年刊行】
【概要】
東野圭吾氏の短編集第三弾。収録作品はバブル時に書いたもので、単行本未収録。あとがきによると「わけあり物件」。
【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)
メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。
あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。
東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれれない誰かの物語。
名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録。
【感想】
シャレードがいっぱいは、確かに時代を感じさせる。しかし遺言状を巡る展開はとてもスリリングで面白い。
レイコと玲子は、弁護士の主人公が記憶喪失の女の子を助け……というもの。期待していた落ちとは違っていて若干肩透かしを食らった。
再生魔術の女は、子宝に恵まれなかった夫婦が養子を迎えようとする。怖いね~、執念というか。
さよなら『お父さん』は、秘密の原型になったもの。秘密は読んだけど全然覚えてなかったので普通に楽しめた。落ちは切ないね。
名探偵退場は、科学捜査により昔のようなロマンあふれる事件が起きなくなったと嘆く老探偵の元に、ロマンあふれる依頼が。笑った。
眠りたい死にたくないは、短くてサクッとしていていいね。でもまあ別に特筆すべき点はない。
二十年目の約束は、プロポーズの際に「子どもは作らない」約束を交わした夫婦。それには理由があって……。タイトル通りで。悔やんでも悔やんでも、時間が戻ることはないんだよなぁ。
ざっと感想を述べてみたが、相変わらずとてもおもしろい。東野圭吾作品はクオリティに落差がないよねえ。安心して読めるね。
短編もいいんです。