【読書感想文】 中場利一/その後の岸和田少年遇連隊 ―純情ぴかれすく 【2011年刊行】
【概要】
言わずと知れた中場利一氏の自伝的小説シリーズ第八弾。
【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)
「オマエまたケンカして仕事辞めたんやて」。20代も半ばを過ぎようとしているのに、チュンバの生活は何も変わっていなかった。せっかく仕事が決まっても、ついつい手が出て足が出て、元の無職に逆戻り。
そんなある日、6年間の「おつとめ」を終えたアキラが事務所を開いたという噂が舞い込んだ―。
恋とケンカの青春を描くシリーズ最終巻。フィナーレを飾るのは特別収録、中場母子の爆笑対談。
【感想】
新しい彼女であるマイコはこれまで知り合ってきたどの女とも違う。この女のためにまともになりたい。
しかし、仕事が決まっても、偉そうにされたりなにか言われたりすると暴力が出てしまい、無職に戻る。
イサミちゃんや悪友の仕事を手伝ってみるが、悪いことや喧嘩に興味がなくなっていた。
そんな中マイコの趣味である読書から、チュンバは生まれて初めて読む本の面白さを知る。
そして暇つぶしに本の雑誌へはがきを送りつける。それが掲載される。トラックの運転手をやりながらはがきを送り続ける。
岸和田少年愚連隊としてはもうこれが最後だろうなと、読み終えてわかった。チュンバが大人になってしまったから。
このままマイコとゴール・インかぁと余韻に浸っていたが、重要なことを思い出した。そういえばあとがきで、五十超えてから子どもができたとか言っていたような。だとしたらもっと年下の女性ってわけで……。
まあそれはどうでもいいか。前作での焦りやもやもや、行き場のない怒りに答えがつく。書いたものが本になるまでの過程もとても面白かった。