読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 岩井志麻子/現代百物語 嘘実 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れたホラー作家岩井志麻子氏のそこはかとなく不安な話をまとめた現代百物語シリーズの第二弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 さらりと驚くような都市伝説を語る女。芸能界との繋がりを自慢する主婦。人を殺しかけた体験を語る男。雑誌に殺人事件をタレこむ女。凄絶な不良少女と友達だと吹聴するお嬢様。過去をなかったものにする風俗嬢。だますつもりのない簡単なホラを吹く女…。
 人が嘘をつく背景には、どんな心の闇があるのか。著者の身の回りに実在する話を元に、現代人の虚実を暴き出す、書き下ろし百物語、大好評シリーズ第2弾。


【感想】

 タイトルにもあるように、今回のテーマは嘘。読み終えた瞬間、すーって息を吸い込んでははははと乾いた笑いが出てくる。不安を通り越して怖い。
 一応作者はすべて実話だと言っているのでそれを信じて恐怖を楽しむのがいいね。
 フェイクだとか作り物だとか、そういう視点でホラーを見ても仕方がない。


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【読書感想文】 加藤陽子/それでも、日本人は「戦争」を選んだ 【2016年刊行】

【概要】

 歴史学者加藤陽子氏の講義をまとめたもの。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 膨大な犠牲と反省を重ねながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。
 指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思いなお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。
 鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本近現代史小林秀雄賞受賞。


【感想】

 日清戦争から順に、日本の戦争の歩みが学べるらしいので買ってみたわけだが……。

 期待しすぎたのだろうか。とてもつまらない。ウィキペディアをまとめただけというか、教科書を読んでいるというか、とにかくつまらない。結局なにが言いたいのかわからないし。
 読んでもらおうという気がまったく感じられない。中学や高校の時のつまらない歴史の授業を思い出した。

 途中から飛ばし飛ばしで読んで、あっもういいやと思って読むのをやめた。


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【読書感想文】 東野圭吾/手紙 【2006年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 毎日新聞」日曜版に2001年7月1日から2002年10月27日まで連載され、2003年3月1日に毎日新聞社から単行本が刊行された。第129回直木賞候補作である。映画化に合わせて、2006年10月10日に文春文庫版が刊行された。文庫版は1ヶ月で100万部以上を売り上げ、同社最速のミリオンセラーとなり、2007年1月時点で140万部を超えている。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。
 しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。
 人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。


【感想】

 ネタバレあります。

 途中までは一気読みだった。直貴は進学も夢も恋愛も就職も、ことあるごとに兄の件が理由で理不尽な仕打ちを受ける。刑務所にいてなにも知らない兄は脳天気な手紙を送り続ける。その対比がとてもいいね。
 直貴も、自分のせいで兄がという負い目があるんだよね。諦めざるを得ない結果になるわけだが、相手が悪人というわけではない。たしかにまあ自分でもそうするわなあと思わせる。
 しかし朝美の自分に酔っているところがとても人間臭くてよかったな。直貴が大学へ行くきっかけをつくった倉田のキャラもいいね。
 続きが気になって気になって、正直二回だけ先を見てしまった。もう文章を読むのもかったるいぐらい気になって気になって。

 ……が……。

 五章と終章は「はぁ?」だったな。顔もよくて声もよい直貴に一方的に惚れる都合のいい女由美子。大きな会社の社長が二回も直貴に会って助言めいたことを言う。終盤の流れ。兄貴に手紙を出すってのはいいけどよお、ちょっと都合よすぎないか。朝美と倉田、あとはまあ寺尾以外、そのために出てきたキャラクターで作者に都合よく言わされているだけなのがビシビシ伝わってくるよ。

 四章までは全然感じずにひたすら読んでいたんだけれど、五章と終章っていうか社長と終盤の展開は駄目だわ。興ざめ。最後の手紙がいい味出してただけに残念だなあ。でもそれだけ、四章までは本当に面白くてハマりにハマったというわけで、ちょっと落ちに期待をしすぎていたのかなというわけです。

 仕事仲間の、直貴に飯を誘うけれど割り勘にはしないやつが一番好きかなぁ。


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【読書感想文】 奥田英朗/空中ブランコ 【2008年刊行】

【概要】

 言わずと知れた奥田英朗氏の第131回直木三十五賞受賞作で伊良部シリーズ第二弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。
 この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
 直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。


【感想】

 相変わらず楽しい。跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、先端恐怖症のやくざ、非常ボタンを押し逃げしたい衝動や、整然としたものを破壊したい衝動に駆られる強迫性障害精神科医、一塁へまともな送球ができなくなるイップスの状況に陥る野球選手、新作執筆中に以前も書いた内容ではないかと不安になる、心因性嘔吐症の女流作家。

 テンプレートは基本的に同じなので、患者の設定と伊良部のキャラクターにハマれば読むのが止まらなくなると思う。患者は大体においてピンチに陥るので、そこが読んでいて面白い。
 「おーい、マユミちゃん」が癖になる。


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【映画感想文】【洋画】 アンディ・ムスキエティ/IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 【2017年感想】

【概要】 (Wikipedia引用)

 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(イットそれがみえたらおわり、IT)は、アンディ・ムスキエティ監督による2017年のアメリカ合衆国のホラー映画である(英語版)。
 2度目の映像化で初の劇場版であり、本作は小説の前半を映画化した。キャッチコピーは、『子供が消える町に、"それ"は現れる。』


【内容紹介】 (Wikipedia引用)

 1988年から物語は始まる。立て続けに起こる行方不明事件の最中、雨の日にビルの弟であるジョージーが行方不明となる。
 夏休みに入る頃、ルーザーズクラブのビル、リッチー、スタンリー、エディ、そしてバワーズらに暴行を受けて逃げてきた際に出会ったベン、薬局にて出会ったベバリー、バワーズらに暴行を受けているところでビルたちに助けて貰ったマイクと共に連続行方不明事件の謎を探ることとなる。
 それぞれ悩みを背負った少年少女たちが恐怖に立ち向かう姿を描く。

【感想】

 子どものころ、毎週土曜日は家族でレンタル・ビデオ店に行ってそれぞれなにか映画を借りるというイベントがあった。僕は基本的にホラーを借りていたのだが、その中の予告CMにこの映画のオリジナルのビデオが紹介されていた。予告CMだけで兄弟全員がものすごく恐怖に怯えたのを覚えている。

 それ以来トラウマになっていて、ようやくそれを観ることができたのは中学生になってからだった。二部構成で大人になった登場人物の一人が風呂場で剃刀で手首を切って自殺したシーンだけ強烈に記憶に残っていた。

 それから十数年後、まさかリメイクされるとは思ってもいなかった。ネットフリックスで配信していたので、さっそくリメイク版を観た。

 序盤の男の子が雨の中外へ出て下水道を覗き見るシーン。あー、そうだこのシーンあったなあと興奮した。問題を抱えた少年たちと行方不明者が続出する街。

 前半は結構怖いなと思ったが、徐々にトーン・ダウンしていった印象。だって、ペニーワイズが殺しにかかってないもん。怖がらせようとしてるだけ。あと少し傷を負わせるぐらい。
 だから、恐怖の緊張感が続かない。まあどうせ殺しにこないしな、と思ってしまう。

 まあでも少年少女が問題を解決していく姿は同じキング原作のスタンド・バイ・ミーな感じでちょっと感動したな。だからR指定なのが残念。子どもが観たらとても怖くて面白いと思うだろうなぁ。
 ホラー映画で一番売れた作品になったみたいね。

 そういやキング原作の映画はよく観てきたけれど原作はひとつも読んだことがないので、なにか読んでみようと思う。

 ベバリーがとても可愛いね。バワーズどうなったんだ?


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【読書感想文】 奥田英朗/イン・ザ・プール 【2006年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 精神科医伊良部シリーズ』の第1作。第127回直木賞候補になった。
 伊良部総合病院の地下にある神経科を訪れる人々と、彼らを診る医師を描いた作品。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。
 プール依存症、陰茎強直症、妄想癖……訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
 こいつは利口か、馬鹿か? 名医か、ヤブ医者か。


【感想】

 奥田英朗氏の名前は前からよく見聞きしていたが、読むのは初めて。数年前に誰かが「奥田英朗って人のイン・ザ・プールって本が面白いよ」と教えてくれたので買っておいたのだが、数年後の昨日棚を見たらなかったのでブック・オフで買ってきて読んだ。二作目が直木賞捕ってるみたいで気になったのよね。

 昼前にファミレス行ってランチ食いながら読んで、帰ってきてからも読んで。びっくりするぐらい面白かった。注射フェチでロリコンでマザコン精神科医伊良部と、美人で露出狂だが愛想のない看護師マユミのキャラがいいね。病気の内容もわけがわからなくて本人は必死に困っているが、読んでるこっちからすれば笑えて笑えて仕方がない。

 プールで泳いでる時の快感を求めて何度もプールへ通う会社員、ち○こが常に勃起状態になっている嫁を寝取られた男、美人な私には何十人ものストーカーがついてると訴えるコンパニオンの女、携帯依存症で常に誰かと繋がっていることを気にしている高校生、強迫性障害でなにもかもが気になって仕方ないルポライター

 ぐいぐい読ませる力があって一気に読んでしまった。次作の空中ブランコと町長選挙が楽しみだ。あとほかにも奥田英朗氏の本を買ってきたのでそれも楽しみだ。

 追伸。一度でいいからマユミちゃんみたいな看護師に注射されたいなぁ。


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【読書感想文】 さくらももこ/さくら日和 【2007年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏のエッセイ第三シリーズ第一弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 21世紀を前にして、人生最大の危機に陥ったももこさん。
 「ママは本当はさくらももこなんじゃないの?」と息子が疑いを抱き始めたのだ…。「深まる息子の疑惑」はじめ、父ヒロシを連れての社員旅行など、抱腹エピソードが満載。
 「おめでとう新福さん」で前代未聞のパーティーの主役となった、元担当編集者からの渾身の質問をお楽しみ巻末付録に。
 人気爆笑エッセイがますますパワーアップして登場。


【感想】

 相変わらず面白い。が、アマゾンを見ると、結構言われてるね。さくらももこ氏のエッセイを読むと平和を実感できる。「あ~、今日も平和だなぁ」とほっとする。
 内輪ネタが多めなのでこれから読むとなんのこっちゃわからんだろうけれど、父ヒロシと息子の話を読んであははぁと笑えればそれでよいのだ。


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