読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 筒井康隆/読書の極意と掟 【2018年刊行】

【概要】

 言わずと知れた筒井康隆氏の、読書を中心とした自伝的エッセイ集。漂流 本から本への文庫版。

【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 作家・筒井康隆、誕生の秘密。

 戦時中にひとり疎開した幼少期、演劇部で活躍した中高時代、不本意な営業に配属された新入社員時代、いつも傍らには本があった。
 いずれ小説を書くとは夢にも思わず、役者になりたかった青年を大作家にしたのは“読書”だった。小説界の巨人が惜しげもなく開陳した自伝的読書遍歴。『漂流 本から本へ』を改題。


【感想】

 筒井氏の本は二十歳前後の頃によく読んでいた。そういえば最近あまり読んでいないなと思ってこれを買ってみたわけだが、とても面白かった。
 好きな作家の書評本ほど当てになるものはない。ノートを横に置き、気になるタイトルはメモしながら読んでいた。

 出てくる作家の面子の豪華さに驚いた。

 とても心地よい読書だった。メモした小説を読むのも楽しみだ。


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【読書感想文】 中場利一/その後の岸和田少年遇連隊 ―純情ぴかれすく 【2011年刊行】

【概要】

 言わずと知れた中場利一氏の自伝的小説シリーズ第八弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 「オマエまたケンカして仕事辞めたんやて」。20代も半ばを過ぎようとしているのに、チュンバの生活は何も変わっていなかった。せっかく仕事が決まっても、ついつい手が出て足が出て、元の無職に逆戻り。
 そんなある日、6年間の「おつとめ」を終えたアキラが事務所を開いたという噂が舞い込んだ―。
 恋とケンカの青春を描くシリーズ最終巻。フィナーレを飾るのは特別収録、中場母子の爆笑対談。


【感想】

 新しい彼女であるマイコはこれまで知り合ってきたどの女とも違う。この女のためにまともになりたい。
 しかし、仕事が決まっても、偉そうにされたりなにか言われたりすると暴力が出てしまい、無職に戻る。
 イサミちゃんや悪友の仕事を手伝ってみるが、悪いことや喧嘩に興味がなくなっていた。
 そんな中マイコの趣味である読書から、チュンバは生まれて初めて読む本の面白さを知る。
 そして暇つぶしに本の雑誌へはがきを送りつける。それが掲載される。トラックの運転手をやりながらはがきを送り続ける。


 岸和田少年愚連隊としてはもうこれが最後だろうなと、読み終えてわかった。チュンバが大人になってしまったから。
 このままマイコとゴール・インかぁと余韻に浸っていたが、重要なことを思い出した。そういえばあとがきで、五十超えてから子どもができたとか言っていたような。だとしたらもっと年下の女性ってわけで……。

 まあそれはどうでもいいか。前作での焦りやもやもや、行き場のない怒りに答えがつく。書いたものが本になるまでの過程もとても面白かった。


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【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 完結篇 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れた中場利一氏の自伝的小説シリーズ第六弾にして完結編。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)
 周りの奴らが突然変わり始めた。リョーコは知らない誰かと結婚し、アキラはホンモノのヤクザ屋さんになり、ライバルの定はあろうことかセールスマンに!?小鉄だけは相変わらずだが、それでもヨメのオタフクと温かい家庭を築いている。
 19歳になったチュンバは小さな夢すら持てず、たださまよい歩いていた―。少年から大人への端境期、それぞれの道を進んでいく愚連隊たちを描くシリーズ第六弾。


【感想】

 昼過ぎにファミレスで読んでいたのだが、そこの店員にいい感じの眼鏡娘がいてそれが気になって気になって仕方がないので家に帰り、夜まで一度も休憩を挟まずに読んだ。

 これまでのようにチュンバ小鉄、そしてその周りの人間の喧嘩や悪巧みにバカ笑いするパターンではなくなっていた。
 チュンバが十九歳になり、なにもしていない自分に焦りを感じている。小鉄は世帯を持ち、元彼女のリョーコも主婦となり、喧嘩仲間の定はサラリーマンになって人に頭を下げている。そういう周りの変化を目の当たりにして、余計に焦る。
 なにかしなければならないと、やくざのアキラのビジネスに乗って女の子といい感じになってみたり、そのビジネスが原因でやくざにお灸を据えられたりと散々な目に合う。

 全体的に重みがあり、自分が十九歳二十歳のころはどうだったかとつい考えてしまう。喧嘩や犯罪はしなかったものの、同じようになかなか酷い生活だった。
 周りは結婚したり就職したり大学へ行ったり地元を離れたりして、自分は適当にバイトしたと思ったら辞め、派遣会社で働き始めたと思ったら辞めを繰り返していた。当時の彼女の家に無理やりご厄介になっていた時は、「ハロー・ワークに行っていろいろ探してくる」と言って煙草と飯代合わせて千円をもらって、奥まったところにある海沿いの端に車を止めて一日中読書していた。


 変わらなきゃいけない、ちゃんとしなきゃいけない、いつまでも子どもじゃない、周りはどんどんおとなになっていく、俺はなにをやってるんだ!?

 チュンバの怒りと焦りが読み手に伝わり、やるせない気持ちになる。

 とはいうものの、辛気臭いわけではなくいつもの岸和田少年愚連隊です。一応完結。次はその後の岸和田少年愚連隊

「オノレら、図書委員なめたらいてまうど」
 続いて私が入り、今度こそ徹底的に店をつぶした


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【読書感想文】 さくらももこ/ももこの21世紀日記 〈N’03〉 【2007年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏の日記シリーズ第三弾。


【内容紹介】 (裏表紙引用)

 21世紀のはじまりから刊行している「ももこの21世紀日記」。
 一年という時の流れのなかには、地味ながらいろんな変化があるものです。日々のささやかな暮らしのなかにこそ、面白味がある、そんなももこ作品の一連のテーマのもとに、日常の報告を絵日記で綴りました。
 みなさまの幸せと平和への願いをこめておくる、文庫版の好評シリーズ第3巻。


【感想】

 二冊目読み終わって感想書いて、三冊目読み始めた。すごくライトですぐ読み終えちゃうからついつい手に取ってしまうね。楽なほうへ楽なほうへ行ってしまう。まあでも面白いんだから別にいいじゃないか。
 第四弾以降も買っておきましょう。


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【読書感想文】 さくらももこ/ももこの21世紀日記 〈N’02〉 【2006年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏の日記シリーズ第二弾。


【内容紹介】 (裏表紙引用)

 21世紀のはじまりから刊行している「ももこの21世紀日記」。
 一年という時の流れのなかには、地味ながらいろんな変化があるものです。
 日々のささやかな暮らしのなかにこそ、面白味がある。そんなももこ作品の一連のテーマのもとに、日常の報告を絵日記で綴りました。
 みなさまの幸せと平和への願いをこめておくる、文庫版の好評シリーズ第2巻。


【感想】

 とっても面白くてライトでサクッと読めるので、二冊目も読んでしまった。
 ちょいちょい宣伝が入るのがあれだが、いつものメンバーがのほほんと過ごしている様は読んでいてとても気持ちがいいね。


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【読書感想文】 さくらももこ/ももこの21世紀日記 〈N’01〉 【2005年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏の絵日記シリーズ第一弾。


【内容紹介】 (裏表紙引用)

 21世紀のはじまりから刊行している好評シリーズ、「ももこの21世紀日記」。
 一年という時の流れのなかには、地味ながらいろんな変化があるものです。
 日々のささやかな暮らしのなかにこそ、面白味がある、そんなももこ作品の一連のテーマのもとに、日常の報告を絵日記で綴りました。
 みなさまの幸せと平和への願いをこめて贈る待望の文庫版。


【感想】

 見開き右が文章で左が絵の日記。とてもライトで漫画チックなので一時間足らずで読める。なので気軽になにか読みたい時におすすめです。
 母親がさくらももこではないかと疑っている息子関連の話がとても平和で笑みがこぼれる。


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【読書感想文】 高橋弘希/送り火 【2018年刊行】【第159回芥川龍之介賞受賞作】

【概要】

 言わずと知れた高橋弘希氏の五冊目の小説で、第159回芥川龍之介賞受賞作。


【内容紹介】 (文藝春秋BOOKS引用)

 東京から山間の町に引越した中学三年生の歩。うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは。注目の俊英、渾身作!


【感想】

 昼過ぎに家を出る際に郵便受けにこの小説が入っていたので、それを持ってドトールへ行き、一気に読んでしまった。

 主人公である歩は東京から青森に引っ越してきた中学三年生。父親が転勤族のためこれまで数度転校してきた。新しいクラスに馴染むのも慣れたもので、平和な日々を過ごす。
 十三人しかいない三年生のリーダーでクラスの中心人物ある晃は稔に度を超えた理不尽ないじめを続ける。歩はそれに違和感を覚えつつも、適度な距離を取り特になにも言わない。

 稔はなにをされても眉を八の字に曲げ、照れたような半笑いをするだけ。そんな稔にいじめを続ける晃。自分に火の粉が飛んでこないようにただ見ている歩。

 晃というキャラクターがとても恐ろしくて、まるでホラー小説を読んでいるような緊張感があった。先が気になって気になって頁をめくる手が止まらない。相変わらず文章はとても心地よくただ静かに流れてゆく。描写が過剰だと言う人もいるだろうが、僕はとても好きだ。

 閉鎖的な田舎のおどろおどろしい世界。。目を背けたくなる暴力描写。終盤の手に汗握る展開。突き放すラスト。たまりませんなあ!?


追記

 芥川龍之介賞受賞、おめでとうございます。

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