【読書感想文】 江戸川乱歩/明智小五郎事件簿 1 【2016年刊行】
【概要】
言わずと知れた江戸川乱歩氏の明智小五郎の事件だけを抜き出して、時系列にまとめたもの。
【感想】
恥ずかしながらこの歳になるまで江戸川乱歩氏の小説は未読でした。D坂の殺人事件を読み勧めると、あまりの面白さと文章の読みやすさで読むのが止まらなくなって困りました。
倒叙スタイルの短篇が特によかったです。古臭さもなくて、ただただ感動しました。
D坂の殺人事件
明智小五郎、最初の事件。これはさすがに途中で気づいた。おそらくそういうことだろうな、と。
幽霊
幽霊に追われて精神衰弱になってしまったおじさんを助ける。おーなるほど! と思った。
黒手組
黒手組というギャングに娘が攫われたので身代金払ったのに、娘が帰ってこないと。そういうトリックだったのねぇ。
心理試験
連想ゲームをクリアすれば無罪。単語に対して犯人しか知りえないものを連想すると疑われる。手に汗握る戦いだった。これは今の時代でも十分通用する。
屋根裏の散歩者
犯罪の真似事をして遊んでいたが、それに飽きてしまい屋根裏を散歩するようになった。床に穴が空いており、その穴の真下にいけ好かない奴の大きく開いた口があると。
事件を起こすまでの完成度がとんでもなく高い。ただただ頁をめくっていた。でも、オチがちょっとねぇ。
【読書感想文】 東野圭吾/ガリレオの苦悩 【2011年刊行】
【概要】(Wikipedia引用)
東野圭吾の推理小説。ガリレオシリーズ第4弾。2008年10月24日に『聖女の救済』と同時刊行した推理短編小説集。2011年10月10日には文春文庫より文庫版が発売された。
【感想】
前作の容疑者Xの献身であまり協力的ではなくなった湯川をどうにかして物語に引っ張り出してこようという努力が見られる。草薙経由では難しくなったので、その部下である内海薫を出してきたり、湯川の恩師の家でパーティーさせたり、湯川の友人のペンションに呼んでみたり、犯人が湯川に挑戦状を叩きつけたり。
内海薫が出てきたので草薙の出番が少なくなったのは残念だが、内海薫のキャラクターもとてもよいのでまあ仕方ないか。
最初の頃より人間を描くようになったなあと思った。トリック自体もわかりやすいものになっている。あと湯川は科学者として興味が出たら関係なく事件に関わっていくような性格だったが、やはり人間臭くなっている。
と、まあマイナス・ポイントばかり挙げたが、時間を忘れて一日で読んでしまった。長い病院の待ち時間にひたすら読んでいた。積ん読棚に置いてある次の聖女の救済を早く読みたいな。
【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 望郷篇 【2010年刊行】
【概要】
言わずと知れた、中場利一氏の岸和田少年愚連隊シリーズ三作目。
【感想】
望郷篇とあるように、チュンバの小学生時代を描いた長編。まるで漫才の掛け合いのように会話が進み、あれよあれよ止まらない止まらない、二日で読んでしまった。
六年前に読んでいたので微妙に展開は覚えていたが、それでも楽しく読めた。東京タワー先生がなんだかとってもエロく感じるのはなぜだろう。背が高くて勝ち気で下町言葉を遣う女教師。
チュンバと鈴野の淡い恋、小鉄マー坊ガスの悪友と喧嘩し、叔父が作った野球チームで宿敵の定と戦い、小鉄のオバァのお話と、これでもかというほど内容が詰まっている。
喧嘩三昧の不良な小説だが、おセンチな気持ちになるのよねぇ。さー早く次が読みたいね。