【読書感想文】 伊坂幸太郎/オーデュボンの祈り 【2000年刊行】
【概要】
言わずと知れた伊坂幸太郎氏のデビュー作品で第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
【感想】
伊坂幸太郎氏の小説を一番最初に読んだのは、アヒルと鴨のコインロッカーだった。十年前かな、映画版を観て感動して原作も読んで感動した。それからちらちら読んでる。
伊坂作品といえば、魅力的なキャラクター、心地よい会話、終盤の伏線回収。それはデビュー作のオーデュボンの祈りでも味わえる。
優等生なんだよなぁ。よくできてるし面白いしヒットも飛ばして。終盤の伏線回収は本当に見事だった。さまざまな伏線がごそごそっと回収されて読んでいて口笛を吹きたくなった。やるねぇ~、ヒュウ。
まあ口笛は吹けないんであれだが、クローズド・ミステリな味もあり、完璧な悪人も出てきてスリリングで先の見えない展開は読んでいてとても楽しかった。
……が、ひとつ言わせてもらうとすれば、中盤ちょっとだれるよね。ちょっと長い。とはいえこれでも文庫化の際に150頁ほど削除したようだ。
伊坂作品はブック・オフでもよく見かけるし、手軽に入手できて読みやすい文章で楽しいエンタメなので文句なしだよね。