読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 東野圭吾/手紙 【2006年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 毎日新聞」日曜版に2001年7月1日から2002年10月27日まで連載され、2003年3月1日に毎日新聞社から単行本が刊行された。第129回直木賞候補作である。映画化に合わせて、2006年10月10日に文春文庫版が刊行された。文庫版は1ヶ月で100万部以上を売り上げ、同社最速のミリオンセラーとなり、2007年1月時点で140万部を超えている。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。
 しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。
 人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。


【感想】

 ネタバレあります。

 途中までは一気読みだった。直貴は進学も夢も恋愛も就職も、ことあるごとに兄の件が理由で理不尽な仕打ちを受ける。刑務所にいてなにも知らない兄は脳天気な手紙を送り続ける。その対比がとてもいいね。
 直貴も、自分のせいで兄がという負い目があるんだよね。諦めざるを得ない結果になるわけだが、相手が悪人というわけではない。たしかにまあ自分でもそうするわなあと思わせる。
 しかし朝美の自分に酔っているところがとても人間臭くてよかったな。直貴が大学へ行くきっかけをつくった倉田のキャラもいいね。
 続きが気になって気になって、正直二回だけ先を見てしまった。もう文章を読むのもかったるいぐらい気になって気になって。

 ……が……。

 五章と終章は「はぁ?」だったな。顔もよくて声もよい直貴に一方的に惚れる都合のいい女由美子。大きな会社の社長が二回も直貴に会って助言めいたことを言う。終盤の流れ。兄貴に手紙を出すってのはいいけどよお、ちょっと都合よすぎないか。朝美と倉田、あとはまあ寺尾以外、そのために出てきたキャラクターで作者に都合よく言わされているだけなのがビシビシ伝わってくるよ。

 四章までは全然感じずにひたすら読んでいたんだけれど、五章と終章っていうか社長と終盤の展開は駄目だわ。興ざめ。最後の手紙がいい味出してただけに残念だなあ。でもそれだけ、四章までは本当に面白くてハマりにハマったというわけで、ちょっと落ちに期待をしすぎていたのかなというわけです。

 仕事仲間の、直貴に飯を誘うけれど割り勘にはしないやつが一番好きかなぁ。


f:id:retsudansensei:20180731165756j:plain