読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 完結篇 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れた中場利一氏の自伝的小説シリーズ第六弾にして完結編。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)
 周りの奴らが突然変わり始めた。リョーコは知らない誰かと結婚し、アキラはホンモノのヤクザ屋さんになり、ライバルの定はあろうことかセールスマンに!?小鉄だけは相変わらずだが、それでもヨメのオタフクと温かい家庭を築いている。
 19歳になったチュンバは小さな夢すら持てず、たださまよい歩いていた―。少年から大人への端境期、それぞれの道を進んでいく愚連隊たちを描くシリーズ第六弾。


【感想】

 昼過ぎにファミレスで読んでいたのだが、そこの店員にいい感じの眼鏡娘がいてそれが気になって気になって仕方がないので家に帰り、夜まで一度も休憩を挟まずに読んだ。

 これまでのようにチュンバ小鉄、そしてその周りの人間の喧嘩や悪巧みにバカ笑いするパターンではなくなっていた。
 チュンバが十九歳になり、なにもしていない自分に焦りを感じている。小鉄は世帯を持ち、元彼女のリョーコも主婦となり、喧嘩仲間の定はサラリーマンになって人に頭を下げている。そういう周りの変化を目の当たりにして、余計に焦る。
 なにかしなければならないと、やくざのアキラのビジネスに乗って女の子といい感じになってみたり、そのビジネスが原因でやくざにお灸を据えられたりと散々な目に合う。

 全体的に重みがあり、自分が十九歳二十歳のころはどうだったかとつい考えてしまう。喧嘩や犯罪はしなかったものの、同じようになかなか酷い生活だった。
 周りは結婚したり就職したり大学へ行ったり地元を離れたりして、自分は適当にバイトしたと思ったら辞め、派遣会社で働き始めたと思ったら辞めを繰り返していた。当時の彼女の家に無理やりご厄介になっていた時は、「ハロー・ワークに行っていろいろ探してくる」と言って煙草と飯代合わせて千円をもらって、奥まったところにある海沿いの端に車を止めて一日中読書していた。


 変わらなきゃいけない、ちゃんとしなきゃいけない、いつまでも子どもじゃない、周りはどんどんおとなになっていく、俺はなにをやってるんだ!?

 チュンバの怒りと焦りが読み手に伝わり、やるせない気持ちになる。

 とはいうものの、辛気臭いわけではなくいつもの岸和田少年愚連隊です。一応完結。次はその後の岸和田少年愚連隊

「オノレら、図書委員なめたらいてまうど」
 続いて私が入り、今度こそ徹底的に店をつぶした


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