読書感想ブログ

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【読書感想文】 高橋弘希/送り火 【2018年刊行】【第159回芥川龍之介賞受賞作】

【概要】

 言わずと知れた高橋弘希氏の五冊目の小説で、第159回芥川龍之介賞受賞作。


【内容紹介】 (文藝春秋BOOKS引用)

 東京から山間の町に引越した中学三年生の歩。うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは。注目の俊英、渾身作!


【感想】

 昼過ぎに家を出る際に郵便受けにこの小説が入っていたので、それを持ってドトールへ行き、一気に読んでしまった。

 主人公である歩は東京から青森に引っ越してきた中学三年生。父親が転勤族のためこれまで数度転校してきた。新しいクラスに馴染むのも慣れたもので、平和な日々を過ごす。
 十三人しかいない三年生のリーダーでクラスの中心人物ある晃は稔に度を超えた理不尽ないじめを続ける。歩はそれに違和感を覚えつつも、適度な距離を取り特になにも言わない。

 稔はなにをされても眉を八の字に曲げ、照れたような半笑いをするだけ。そんな稔にいじめを続ける晃。自分に火の粉が飛んでこないようにただ見ている歩。

 晃というキャラクターがとても恐ろしくて、まるでホラー小説を読んでいるような緊張感があった。先が気になって気になって頁をめくる手が止まらない。相変わらず文章はとても心地よくただ静かに流れてゆく。描写が過剰だと言う人もいるだろうが、僕はとても好きだ。

 閉鎖的な田舎のおどろおどろしい世界。。目を背けたくなる暴力描写。終盤の手に汗握る展開。突き放すラスト。たまりませんなあ!?


追記

 芥川龍之介賞受賞、おめでとうございます。

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