読書感想ブログ

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【読書感想文】 高橋源一郎/ゆっくりおやすみ、樹の下で 【2018年刊行】

【概要】

 言わずと知れた高橋源一郎氏の初の児童文学。


【内容紹介】 (朝日新聞出版ホームページ引用)

 夏休み! 小学5年のミレイちゃんが、鎌倉の「さるすべりの館」で、バーバと犬のリング、ぬいぐるみのビーちゃんと過ごすひと夏の物語。
 さるすべりの館には、潜んでいた過去の謎があった。赤の部屋には何があるの? なぜ止まっていた時計がとつぜん動き出した? 緑の部屋にある肖像画はいったい誰?
 そしてミレイちゃんは、赤いさるすべりの樹の下で、ついに大切な人に出会う。かけがえのない何かを見つける、著者がやさしく柔らかな文章で、精魂をこめた物語。朝日小学生新聞 2017年7月1日から9月30日まで連載。著者にとってはじめての、小学生から大人まで楽しめる長篇小説。今日マチ子さんの絵も90点収録。


【感想】

 氏の新刊が出るとのことなので、予約して購入し、少しづつ読んだ。

 よく考えてみたら、児童文学を読むのは小学生以来かもしれない。小学校の図書館でいつもなにかしら借りて読んでいた。父親が、「卒業までに図書館の本全部読んだら小遣いやるわ」とか言っていたのを思い出した。

 まあそれはどうでもよくて、なるほど児童文学というのは、子どもが読むに適した本なんだなと当たり前のことを思ってしまった。
 同年代の小学五年の女の子が、夏休みに初めて祖母の家に遊びに行く。そこでたくさんの不思議と出会う。謎もいっぱい。
 老犬リングと森を走り回って。

 新聞連載なので、一回が三頁で終わっているところもいいね。寝る前に一回を読むぐらいでちょうどいい。読み聞かせも三頁なら負担もないだろうし。

 少しづつ読んでいたが、後半はまさかの展開で一気に読んでしまった。ちょっと感動したなぁ。戦時中の様子も子どもにわかりやすく想像しやすく描かれており、とても好印象。

 特に第六回の「完璧に幸せな家なんてどこにもない」にはとても感動させられた。その前に主人公であるミレイちゃんの両親がミレイちゃんをどれだけ愛しているかを描く。読んでいる子どもが自分の両親とミレイちゃんの両親を頭の中で比べることを想定しての第六回。う~ん、いいですね。


 児童文学ですが、三十を過ぎたおっさんでも感動しました。おすすめします。


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