【読書感想文】 岩井志麻子/ぼっけえ、きょうてえ 【1999年刊行】
【概要】
言わずと知れた岩井志麻子氏氏の第6回日本ホラー小説大賞作ぼっけえ、きょうてえを収録した短編集。
【あらすじ】 (Wikipedia引用)
岡山の遊郭で客をとる容姿の醜い女郎が、客に自らの身の上話を聞かせるが、それは世にも恐ろしい話であった。岡山の方言を駆使し恐怖感を高めることに成功している。題は、岡山弁で「とても怖い」を意味する言葉。
四作収録されており、「ぼっけぇ、きょうてぇ」の他に「密告函」「あまぞわい」「依って件(くだん)の如し」がある。
【感想】
どれもぞわぞわとしてとても面白かった。田舎独特の閉鎖的で村社会なところがとても気持ちよく描かれていてよかった。僕も田舎出身なので、時代は違えど多少わかる部分もあった。
表題作のぼっけえ、きょうてえは読み終えた瞬間「おおおおおおおお」と声が出た。ニヤニヤしてしまった。生い立ちが過酷すぎて読むのがつらかった。でも昔はこういうことが珍しくはなかったんだろうな。
密告函なんて最高だね。コレラにかかった人を密告する函なのに、魔女狩りみたいに気に入らない人の名前を入れるという。終盤のコレラ菌に罹ったであろう魚を必死に捕る嫁。ぞわぞわっとした。
あまぞわいはよくできているね。海女と尼。女性が虐げられる時代なんだなあ。
依って件の如しは少し冗長に感じたな。でも、シズはよかったなあ。村八分にされると生きていくのも難しい。牛と同じ飯を食わされるって悲惨だな。
怖いというよりエグい、えげつない話だったな。