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【読書感想文】 ダニエル・キイス/アルジャーノンに花束を 【2015年】

【概要】
 言わずと知れたダニエル・キイスSF小説。1959年に中編小説として発表され、翌年ヒューゴー賞を受賞。1966年に長編小説として改作され、ネビュラ賞を受賞した。


【あらすじ】 (Wikipedia引用)
 知的障害を持つ青年チャーリイは、かしこくなって、周りの友達と同じになりたいと願っていた。他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った優しい性格の青年だった。

 彼は叔父の知り合いが営むパン屋で働くかたわら、知的障害者専門の学習クラスに通っていた。ある日、クラスの担任である大学教授・アリスから、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。先に動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリイと難関の迷路実験で対決し、彼に勝ってしまう。彼は手術を受けることを快諾し、この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。

 手術は成功し、チャーリイのIQは68から徐々に上昇し、数ヶ月でIQ185の知能を持つ天才となった。チャーリイは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。だが、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたこと、自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実を理解するようになる。


【感想】

 チャーリイの知能が上昇するにつれ、知識を得ていく中で知らなくてよいことも知っていく。知識は膨大に増えていくが、周りからどんどん人間が消えていく。

 今までチャーリイを知恵遅れだと馬鹿にしていたパン屋の同僚が、賢くなったチャーリイに恐怖を感じ、チャーリイは友人だと信じていた同僚が実は自分を馬鹿にしいじめていたと知り心に傷を負う場面が読んでいてとてもつらかった。
 知識を得れば得るほどに他者に冷たくなっていくチャーリイの姿は、ただただ悲しかった。
 終盤のアルジャーノンの変化は絶望した。

 この結末はバッド・エンドではないと思った。かといってハッピー・エンドでもないが……。


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