読書感想ブログ

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【読書感想文】 横溝正史/八つ墓村 【1971年刊行】

【概要】

 言わずと知れた横溝正史推理小説金田一耕助シリーズのひとつ。


【あらすじ】 (Wikipedia引用)
 戦国時代(永禄9年=1566年)のとある小村に、尼子氏の家臣だった8人の落武者たちが財宝とともに逃げ延びてくるが、村人たちは毛利氏による捜索が厳しくなるにつれ災いの種になることを恐れ、また財宝と褒賞に目がくらみ、武者たちを皆殺しにしてしまう。武者大将は死に際に「この村を呪ってやる! 末代までも祟ってやる!」と呪詛の言葉を残す。その後、祟りを恐れた村人たちは野ざらしになっていた武者たちの遺体を手厚く葬るとともに、村の守り神とした。これが「八つ墓明神」となり、いつの頃からか村は「八つ墓村[8]」と呼ばれるようになった。

 大正時代、落武者たちを皆殺しにした際の首謀者・田治見庄左衛門の子孫で田治見家の当主・要蔵は、粗暴かつ残虐性を持った男で、妻子がありながら井川鶴子を暴力をもって犯し、自宅の土蔵に閉じ込めて情欲の限りをつくした。そのうち鶴子は辰弥という男児を出産したが、鶴子には昔から深く言い交した亀井陽一という男がおり、要蔵の目を盗んで逢引きをしていた。辰弥は要蔵の子ではなく亀井の子なのだという噂を耳にした要蔵は烈火のごとく怒り、鶴子を虐待するとともに辰弥にも体のあちこちに焼きごてを押し当てたりするなど暴虐の限りをつくした。身の危険を感じた鶴子は、辰弥を連れて姫路市にある親戚の家に身を寄せ、いくら待っても帰ってこない鶴子についに狂気を爆発させた要蔵は、異様な姿で手にした日本刀と猟銃で計32人もの村人たちを次々と殺戮し、山へ消えた。

 20数年後、神戸で再婚して寺田姓となった鶴子の息子・辰弥は、終戦後の翌年復員すると天涯孤独の身となっていた。それから2年近く過ぎたある日、ラジオで彼の行方を探していた諏訪法律事務所を訪ねると、辰弥の身寄りが彼を探しているという。数日後、辰弥の元に「八つ墓村へ帰ってきてはならぬ。おまえが村へ帰ってきたら、26年前の大惨事がふたたび繰り返され八つ墓村は血の海と化すであろう。」との匿名の手紙が届く。その後、法律事務所で彼の身寄りである田治見家の使者で、母方の祖父・井川丑松に引き合わされるが、丑松はその場で血を吐いて死に、何者かが彼のぜんそくのカプセルに毒を混入したことが判明する。その後、辰弥の祖母から依頼を受けた森美也子が辰弥を迎えに現れる。


【感想】

 初横溝正史でした。これまで推理小説やミステリはあえて読まないようにしていたので、まったく予備知識もないし映画やドラマも観たことがなかった。
 かなり前の作品だし、古臭さがあって退屈かもしれないなぁ……と思って読み始めたが、まったくもってそんなことはなかった。

 津山の事件を元に作られた昔の話はとても恐ろしかった。それから殺人事件が起こり、主人公である辰弥の立場はどんどん悪くなり、終盤の暴徒と化した村人に追いかけられるシーンはもう怖くて怖くてスリル満点でハラハラ・ドキドキしてとんでもなく面白かった。
 僕もど田舎出身なので、こういう田舎の村の閉鎖的なところがよくわかる。とにかく排除しようとするんだよね。

 ゴールデン・ウィークの連休なのに家に引きこもってずっと八つ墓村を読んでいた。僕が思うに、読んでいる途中で「あら、もうこんなに読んでたのか」とびっくりしたり読むのや頁をめくるのがわずらわしくなる本に出会った時の幸せったらないよね。
 ラストもすっきりして読後感もよく、エンターテイメントとして申し分ないパーフェクツな出来でした。こんなに素晴らしい小説をこの歳になるまで読まなかったなんて、僕ってなんて阿呆なんでしょう。

 というわけで、金田一耕助シリーズの第二弾を購入しました。


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