【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 【2010年刊行】
【概要】
中場利一氏の、言わずと知れた自伝的小説の第二弾。
【感想】
勘違いしていた。血煙り純情篇と望郷篇がずっと積ん読棚に並んでいたので、一作目は読んで二作目と三作目は未読なのかと思っていたが、読書メーターを見ると二作目と三作目を六年前に読んでいた。じゃあなぜ積ん読棚に新品の状態のままで保管されていたのだろう……?
どうせシリーズ読み直すなら、一作目から読みたかったなあ。
感想だった。
悪ガキたちの青春小説。殴った・殴られたというようなライトな暴力ではなく、鼻だけを何度も何度も殴り続ける、包丁で刺す、トイレの手洗い場に顔面を叩きつける、ロープで縛って海に突き落とす……。
目を覆いたくなるような暴力のオンパレードだが、あくまでもこれは小説なので、ファンタジーだと思ったほうがいい。
この小説が優れているところは、隠しておきたい自分の恥部をさらけ出しているところだろう。ボロクソのメタクソにされるところも描かれているし、女に腑抜けにされてモブキャラに土下座させられたところ、カオルちゃんを目の前にすると普段の威勢のよさが消えるところ、等々。まあ当たり前の話なのだが。
登場人物のやりとりは漫才じみていて笑えるし、喧嘩のシーンは爽快感があるし、友情や家族を大切にしているところには好感を持てる。
「生まれ変わったらまた会おうな! そのときはリョーコのこと、もっともっと大事にしてや」というリョーコの台詞がとても胸に刺さった。
……が、ラストがなんかおもてたんとちがーう。