読書感想ブログ

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【読書感想文】 東野圭吾/容疑者Xの献身 【2008年刊行】【第134回直木三十五賞受賞作】

【概要】

 言わずと知れた直木賞受賞作でガリレオ・シリーズ第三弾の長編ミステリ。福山雅治氏と柴咲コウ氏の実写版も大ヒットしたようだ。


【あらすじ】Wikipedia引用)

 花岡靖子は娘・美里とアパートで二人で暮らしていた。そのアパートへ靖子の元夫、富樫慎二が彼女の居所を突き止め訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩の末、殺してしまう。今後の成り行きを想像し呆然とする母子に救いの手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神だった。彼は自らの論理的思考によって二人に指示を出す。

 そして3月11日、旧江戸川で死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定し、花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、捜査が進むにつれ、あと1歩といったところでことごとくズレが生ずることに気づく。困り果てた草薙刑事は、友人の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。

 すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。湯川は当初傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを知り、独自に解明に乗り出していく。


【感想】

 まず、読み終えて、いい人間ドラマを読んだなと思った。正直もうラストへ向けての流れが悲痛で、久しぶりに小説を読んで涙が出た。ミステリなのであまり詳しく言えないのがもどかしいが、過ぎた献身をされたほうのつらさといいますかな、うーん。

 自身が天才だと認める昔の友人を疑って徐々に追い詰めていく湯川、逮捕から逃れられたものの一生石神に気を使い続けなければならない靖子と美里、そしてあえて述べないが草薙と石神、とても人間臭い。だからドラマが生きてくる。靖子に真剣にアプローチするなにも知らない工藤なんかもいい味を出していてとてもいい。

 湯川のつらさと石神の決意を楽しむ作品かなと思いました。実写版の靖子は松雪泰子氏が演じているのね。アパートの隣に松雪泰子氏が住んでいると考えたら、なんだか興奮してきました。

 が、しかし。

 これまでとは異なり、読者に隠されたことがある点には苦言を呈しておこう。

 あと、読み終わって冷静になってみれば、無理矢理ラストを感動に持っていった感があって、なーんかそこだけスッキリしないわね。

 まあでもそれでも面白かったことは間違いない。通勤のバス、休憩時間、昼休み、病院の待ち時間、帰宅してから寝るまでの間ずっと読んでいた。エンターテイメントとしての完成度はとんでもない。びっくりしました。


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