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【読書感想文】 北尾トロ/裁判長! これで執行猶予は甘くないすか 【2009年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 殺人・強盗・覚醒剤など、法廷内ではさまざまな人間模様が繰り広げられる。実際に著者が東京地裁で傍聴した裁判の中から、印象深かったものをピックアップしたエッセイが鉄人社の雑誌『裏モノJAPAN』で連載された。それらをまとめた単行本が2003年に書籍化された。2007年には、続編となる『裁判長!これで執行猶予は甘くないすか』が出版された。


【感想】

 前作は絶賛する感想文を書いたように記憶しているが、今作はちとマイナス・ポイントを述べようと思う。

 僕が評価していたのは、小さい事件に潜んでいる大きなドラマを自分の足を使って調べ上げそれをまとめている、という点。それに関しては今作もとてもよくできていると思う。

 しかし、だ。

 ちと作者の思想が全面に出すぎじゃないかと思う。あとはまぁ、この野次馬根性的なところばかりが描かれていて食傷気味。強姦事件で傍聴人が作者だけだったり、そりゃ傍聴は権利だから責められる謂れはまったくないが。まったくないが、そういうところがとても気持ちが悪い。それを「権利だ」と主張しているところもなんだかキツイところがあるね。

 あとはまあ個人的に、第20章 悪魔がささやく(230頁)は最初から最後までひたすら最低だ。引用してみよう。

「あなたの体の中に盗聴器があることに気づいたのはいつ頃ですか?」
 きたきたきたー! 傍聴歴4年目にして初の、本格的な〈電波系〉。この被告人は体内に盗聴器が仕掛けられているという妄想に取り憑かれているらしい。変わった事件を探しているぼくにとってはずばりド真ん中。フルスイングの勢いで傍聴させてもらいましょう。

 これ、すさまじく最低だよね。前述した強姦も最低だったが、個人的にこの章には怒りを覚えた。

 傍聴は権利、傍聴は面白い、裁判に興味を持ってもらえたら、と綺麗事を抜かしているが、下品で下世話な野次馬根性が全面に出すぎていて褒められたもんじゃあない。しかし、自分の足を使って調べ上げそれをまとめているという点はただただ賞賛でしかない。あくまでもノンフィクションなんだから、もうちょっと作者が文字の奥に隠れてくれてたらよかったのになぁ。


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