読書感想ブログ

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【読書感想文】 高橋源一郎/「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について 【2012年刊行】

【概要】

 「あの日」が起きた瞬間から年が明けるまでのツイッターでのつぶやきをまとめた「日記」の章と、同時期に様々な媒体で書かれた文章の一部を掲載した「文章」の章の二部構成の本。


【感想】

 「日記」の章を読みながら、「これはとんでもない傑作だぞ」と震えた。ツイッターのつぶやきは短い日記のようなものだなと再確認した。
 東日本大震災の日からの自身や自身の家族、近所の人たちの混乱や恐怖がリアル・タイムでわかり、とても緊張感があってよい。
 それから徐々に日常を取り戻していく様、幼い子ども二人の成長、つぶやきを連続投稿して一つの文章にする「深夜0時の小説ラジオ」があり、著名人のフォロワーとの会話があり、著者の生活を覗き見しているような気分になって面白い。

 が……。

 「文章」の章がいただけない。いや、スタイルとしてはとてもいい。ツイッターと連携しているスタイルはとてもいい。例えば「どこそこになにを書いた」とつぶやいたものが「文章」の章に掲載されているのはとても面白い。あと「どこそこへ行ってきた」というのが詳しく述べられていたり。

 でも、冒頭だけとか連載一回だけとか「(以下、続く)」が多い。あとがきで氏がその理由を述べていたが、正直それは全然効果的じゃなかった。冒頭だけ読まされてもなぁ……と。気になるものは続きを読みたいとも思ったが、後半は冒頭ばかりになってきたので、気分としても乗り切れず流し読みになってしまった。

 ツイッターをまとめた部分だけなら、文句なしの傑作だった。常にツイッターを見ているわけじゃないし一人のツイートをずっと追うこともしないし、なにより目が疲れるので長時間は辛い、でもまとめて読みたい。僕はそう思った。正直な話、ツイートをまとめた本ってとっても面白いね。日記文学だね。


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