【読書感想文】 池波正太郎/剣客商売二 辻斬り 【2002年刊行】
本当にもう文章が読みやすい。読みやすくて仕方がない。やっぱりあれだね、余計なものはカット、カット、カット・メンシックだね。
そもそもがそうなんだよ。文章を楽しむのではなく、物語やキャラクターを楽しむものなんだから、読みやすさが爆発すればいいんだよ。キャラクターが生き生きしているんだから、まどろっこしいもんは必要ない。
様々なところで読みやすさが爆発していて、「これは後にわかることだが……」なんていう風にその場であっさりと提示しちゃうし、風景描写や人物描写もかなりあっさりしていて余計なものがまったくない。しかしまあ当たり前の話だが、必要な文章はちゃんと残っていて、世界観をじっくりと堪能できる。
うーむ、あれだなぁ。僕なんてついつい文章過多になっちゃって、必要なものも余計なものもゴタゴタ付け加えてしまうから、そういうところを見習わなきゃいけない。「文章で大事なのは、プラスではなくマイナスだ」というのはわかってはいるんだけれど、ビタビタぐちゃぐちゃつけちゃうね。
そう考えてみると、先日読んだ西村賢太氏も、文章はかなりスマートで余計なものはカット、カット、カット・メンシック。あと、小兵衛と弥七のやりとりを読んでいて思い出したのは、石田衣良氏の池袋シリーズも、カット、カット、カット・メンシックだね。
カット・メンシックが大事なんじゃなくて、余計なものはカット・メンシックしなくちゃいけないという話。エンターテイメントと純文学の違いもあるわけだし、どれもこれもカット・メンシックするという話ではないので。一応。