【読書感想文】 中島らも/獏の食べのこし 【1993年刊行】
んもう。あまりに面白いから、立て続けに読んじゃったじゃないの。読んでいてアタシ思ったんだけど、このエッセイ読んでるあいだ、アタシずっとどこかにいたわ。わかりにくいかしら。ちゃんと説明するわね。
エッセイというか結局のところ文字を読んでるわけなんだけれど、それは例えばドトールだったり家の布団の中だったり、場所はさまざまなわけで。でもそのあいだねぇ、アタシずっとどこかにいたのよねぇ。どこかで漂ってたのよ。これはどういうことかしらねぇ。小説読んでいてもそういうことはなかったわね、おそらく。おそらくだからあるかもしれないし忘れただけかもしれないけれど、これはちょっと不思議な体験だったわ。何度も経験してることなのかもしれないけど。
「あーん、わかるー」
「たしかにそうよねー」
「アハハ、ちょーウケるー」
「なんだか感動しちゃったわ」
一つのエッセイを読み終えて、こう思うわけよね。でも読んでいる間は、どこか別の場所を漂っていたわ。アタシ気づいちゃったんだけど、優れたエッセイっていうのは、読者をどこかに連れて行ってくれるのかもしれないわねぇ。
ま、帰ってこられるかどうかはわからないけれど。
兎にも角にも、最後の「失恋について」は要チェックしておいたほうがいいわよ。ま、いまさらだけれどね。