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【読書感想文】 佐伯一麦/ア・ルース・ボーイ 【1994年刊行】

 古い付き合いの文芸友だちから紹介されたものの、数年間積んだままだった。どういう作家なのかもわからないし、どういうジャンルなのかもわからない。うだうだと読むのを先送りにしていた。

 そして昨日、なんとなく手にとって読んでみた。そして、時間を忘れて読み耽った。

 読み終わった瞬間、外が大雨だろうがここがドトールだろうが関係なく、「とんでもないものに出会ってしまったなぁ!」と叫びたくなった。簡単な話、衝撃を受けた。


 私小説で、ミステリー要素もあり、青春していて、切なくて、とてもいい。


 十代の男女による恋愛小説かと思いきや、どこの馬の骨かもわからない男の子どもを出産した幹と娘の硝子のために、主人公である鮮は成り行きで決まった肉体労働で金を稼ぐ。社長が理解のある人で、生活用品を差し入れたりしてくれる。鮮はそれ以前に進学校を勢いにまかせて退学し、母親との面倒な関係があり、過去に年上の男にされた忌まわしい記憶があり……。


 考えてみると、こういう若い男女が懸命に生きる様が描かれたものを三十を超えた今読んだから、余計に胸に迫るものがあるのかもしれない。どうしようもなさって、本当に沁みるね。


 この小説にはドラマがある。いいものを読んだ。これだから読書はやめられない。佐伯一麦氏をお気に入りの作家の一人に入れておこう。