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【読書感想文】 高橋弘希/スイミングスクール 【2017年刊行】

 指の骨に続き、高橋弘希氏の小説を読んだのはこれで二作目。外れないな、という印象。しかし文芸誌で読んだ時は、ですます調が受け付けなくて読むのをやめた記憶が。

 物語の核心に近づくと逸らせて別の角度からの物語が始まり、帯に書いてある、「私と母の間には、何があったのか――。」という謎が一向に解けない。だから気になって頁をめくる手が止まらないし、文章も描写も物語もすべて緻密に作られているのですぐに読み終わってしまった。

 指の骨もそうだったが、読んでいてとても心地がいい。主人公の娘であるひなたちゃんがとても可愛い。戦争を体験していないのにあれだけの戦争小説を描いて、結婚して娘がいるわけでもないのにこんなに上手い母と娘の関係性を描いて、高橋弘希氏は一体なんなんだと。どれだけの作家なんだと。腹が立つぐらい上手いわと。ふざけんじゃないよと。

 読み手の想像力が爆発するぐらい、頭のなかに描写が浮かび上がる。それがあって、全体的に漂う切なさに胸が締め付けられる。特に終盤にあるカセットテープを聴くところ。父親に向けた、インタビュー形式のもの。もうこの無邪気な子ども時代には戻れないのだな、母も亡くなって娘が成長して、同じようなことが繰り返されていくのだな、と思うと、泣きたいくらいに切なくて悲しくなる。

「お前なんて堕ろすつもりだった」と母から言われてショックを受けたのに、娘の頬を思い切りはたいてしまう。そういうものか。


 短編である短冊流しは、自分の不貞によって夫婦生活が破綻し、下の子供だけ嫁が引き取っていったシングル・ファーザーの話。その娘が突然泡を吹いて気を失い、それからずっと病室で眠り続けている。こちらからはどうしようもない状態に陥った娘をただ見守ることしかできない。つらいね。
 読んでいる途中、中村文則氏の小説を読んでいるような気がした。文体が似ているのだろうか。

 最新作である日曜日の人々を購入したので、読むのが楽しみだ。

 芥川龍之介賞には毎回候補になるだけで受賞しないので、そろそろ受賞してもらいたいなと思った。