読書感想ブログ

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【読書感想文】 野村進・調べる技術・書く技術 【2008年刊行】

 四半世紀ノンフィクションに携わっていた氏が、ノンフィクション作家志望者へ向けて書いた技術書。

 ここまで書くのか、と驚くぐらい手取り足取り一から十まで書かれている。目次を見るとその内容の濃さがわかってもらえると思うので、引用する。

・第一章 テーマを決める
・第二章 資料を集める
・第三章 人に会う
・第四章 話を聞く
・第五章 原稿を書く
・第六章 人物を書く
・第七章 事件を書く
・第八章 体験を書く

 根本的なテーマを決めることから、資料の整理のやり方、取材依頼の手紙の書き方、取材時の道具と使い方……。具体的に書かれている。

 この本自体もノンフィクションだ。氏は第八章で、「筆者が前へ前へ出てくるようなものは基本的に駄目」と書かれている。この調べる技術・書く技術でもそれは守られており、どこぞの誰かのような、上から目線で自分のすごさをアピールするような文章にはなっていない。

 第六章までは基本中の基本を教え、第七章以降は氏のこれまで書いたノンフィクションをそのまま載せ、自分はどのようにしてこの文章を書いたかを細かく説明している。

 僕のようにこれまでほとんどノンフィクションを読んだことがない人が読むと、ノンフィクションの作られ方やノンフィクションの楽しみ方がわかり、いろいろと読んでみたいと思わせる。そしてノンフィクションを書いてみたいと思っている人が読むと、氏が四半世紀かけて積み上げてきた技術を得ることができる。

 つまりこの本は、誰が読んでも楽しめるものとなっている。

 本当に素晴らしい本に出会えた。