読書感想ブログ

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【読書感想文】 西村賢太/蠕動で渉れ、汚泥の川を

 西村賢太の、初となる長編小説。これまでもインタビューやエッセイ等で、長編小説を書きたい書きたいと言っていたので、期待して読んだ。そして、期待通りの面白い作品だった。

 これまでも、小説やらエッセイ等で、田舎者を馬鹿にするパターンは結構あったので、田舎者の僕としてはもう慣れたから、何度も出てくるそれに対しては、ただ笑っていた。そして、それに加えて次は、低身長を馬鹿にするパターンが出てきた。ただただ笑っていた。そういうキャラだし、そういう設定だし、それが終盤に活かされるわけなんだから。まあこれを嫌う読者もいそうだけれど、ただそれは読み取れてないだけで。

 せっかく飲食店という楽なバイトを見つけたのに、八ヶ月もの家賃滞納によりアパートを追い出された貫多が、どうこうしていく、という話。

 今回も、女性に対して色々言っている。糞ババア、やや点数を辛くするならブスのカテゴリーにも包括できそうな、やけに顔の長い一重瞼のひっつめ髪だったが、それでも一応、股間には女陰の備わっているであろうレッキとした雌である、何んか口も臭そうだし、うぬっ、売女めが!、ブタババア、糞女、糞ブス、芋ブス、ドブの中の生物みたいな女、これまでに男から声をかけられた様などはほぼ皆無であろうこんなライトブス、安女、立ちんぼブス、ゲロ女、ブタ女房、等々。

 女性関連で面白かったのは、後から入ってきた大学生のバイトが毎日バイト中に履いていたキュロット・スカートを、オナニーのアイテムとして使おうと、その股間部分の臭いを取り敢えず嗅いでみたところ。声を上げて笑ったわ。

「人糞に豚の腐った臓物を加え、それを経血とお酢とで練り合わせたものを、そのキュロットの股間にひと塗りしてみました、と云った感じの、とんでもなくケタ外れな、最低最悪の臭気である。」

 西村賢太私小説のテンプレートである、ちょっと上手く行って調子に乗って……という流れ。今まで短編ばかりだったから、ちょっと物足りないな、と感じていたので、今回の長編はかなり楽しめた。

 木場さんは最初から最後まで、いい人だったなぁ。