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【読書感想文】 中村文則/何もかも憂鬱な夜に

 何が凄いって、読者を休憩させようと思わせない力強さが半端ない。冒頭を読むと、もう三分の二まで読んでしまった。結局はそこで空腹に負けてしまって、中断したんだけれど、落ち着かなくなって、また読みだした。おかげで徹夜ですよ。

 この作品には、勢いがある。物語もある。文章が滑らかだ。キャラクターも生きている。しかし、読み終えて、わけがわからなくなる。これは一体何なんだ? 結局はどういう事なんだ?

 そう思わせるのは、おそらくだけれど、何もかもに明確な答えを出していないから、なのではないだろうかと考える。いや、答えを出しているのかもしれない。ただ僕がそれを読み取れなかったというだけで。

 圧倒的に比重を占める、ややくどめの心理描写と情景描写、ドストエフスキー作品のように長々と喋る登場人物、重々しいテーマ。こう並べてみると、読みやすさとはかけ離れている作風なのにも関わらず、なぜこんなにもすらすらと読めるのだろうか。次の行を読みたい、次の頁を読みたい、理解したい、ただそれだけを思いながら、気づけば朝を迎え、読み終えた。

 読み終えたら、これは一体何なのかと考える。けれど、前述したように、わからない。おそらく何度読み直してみても、わからないだろう。

 だから僕は、わからないからこそ、この作者の小説をどんどん読んでいきたい。何作も何作も読めば、もしかしたら、何かがわかるのかもしれない。何もわからないのかもしれない。そう思いながら、二作目の掏摸に手を出す。