【読書感想文】 清水義範/小説家になる方法 本気で考える人のための創作活動のススメ
恥ずかしながら、この作家は名前だけしか知らなかった。たまたま図書館で見つけて、色々と作家指南書は読んできたけれど、これはどうかな、借りるのはタダだし、つまらなければやめて返せばいいし、面白かったら儲け物だ、という気軽な気持ちで手にした。
何となく手に取って、何となく読みだしたという、ぼんやりとしたテンションが、第一部、第一章の触りを読んで、「あれ、これ、結構面白いかもしれない!」とテンションが一気に上がった。
「本を読んだ事が無い、もしくは読書が好きではない、という人が新人賞に出してくる、という話を編集者や知り合いの作家に聞いた。それは単に、小説家とは有名人でお金持ちだという勘違いをしているだけ。高収入の小説家なんて、日本全国で三十人もいない。知名度だって無い。普通の人なら、現存する作家の名前を、五人挙げられれば良いところだろう」
とある。かなり現実的な指南書だな、と思った。
「効率の良い読書は、様々なジャンルに手を出すのではなく、気に入った作家の本を全部読め」
だとか、
「年寄りの作家志望者は、作家一人につき一作だけでいいから、現代の小説を読め」
だとか、
「最初は好きな作家の模倣から始めると、徐々に個性が出てくる」
だとか、
「人に読んで貰いたい、良い評価を貰いたい、という気持ちが無いと駄目。書く意味が無い」
という感じに、かなりまともに、かつ実践的で、僕が小説を書きだした十八年前に出会いたかった本だな、と思った。
そこから、著者が小説を書き始めた頃の話になる。僕と殆ど同じ学生時代なのに笑ったけれど、作家志望何てみんなこんな感じなんだろうな。
続いて、才能とは何ぞや、という話。引用してみよう。
「小説家になりたいという希望を持った人は、それだけで、ある種の才能がある。それが自分に向くことだ、という気がした事実は、その方向を目指すことが出来るという能力なのだ。
だから、生まれ持った才能があるとかないとか、もうそんなことばかり考えるのはよそう。なりたいと思えるのは力であり、その力があるのだから努力するのである」
とある。何だか勇気を貰える言葉だ。
そしてまぁ、著者がどうやって売れっ子作家になったか、というお話が続く。
第二部。作家志望は、ここだけでも読んでおいて損は無いと思う。小説のノウハウを、一から説明、解説している。人称の話があるんだけれど、ついつい何も考えずに書いちゃうから、詳しく説明して貰うと、成る程! と思うね。
読んで貰いたいので、引用もしないし、感想も言わない。是非読んで。
最後は、作家の生活について。