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RETSUDAN SENSEIの感想文

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【読書感想文】 すばる2016年8月号 奥田亜希子 『はじまりの名前』 感想

文芸誌感想文 読書感想文

 この作者の小説はこれが初めて読んだ。何だろうな、冒頭辺りは、「恋愛物かぁ」と、ちょっと読むのを躊躇ったけれど、まあせっかくすばる買ったんだし……と読み続けた。
 後、この感想では概要は説明しない。その理由は、これを読めば分かると思う。

 結果として、読んで良かったと思った。僕は、大した事が起きなくて淡々と進む物語が好きだ。これだって結構枚数あるけれど――読み始めた時は、勝手に、短い物だと決めつけていたので、読み終わってからそれに気づいた――別に大した事は起きてない。それが凄く良い。だって基本的に、人生なんて所詮そんな物だから。しかし、所詮そんな物だからこそ、ちょっとしたイベントを楽しむ事が出来る。そのエッセンスがこの小説にはきちんと、綺麗に、整頓されて、丁寧に、描かれている。

 何故かは分からないけれど、これを読み終えて、日本語って美しいな、という感想を真っ先に抱いた。前述したように、きちんと、綺麗に、整頓されて、丁寧な文体が、読んでいてとても心地よい。

 頭の中にちゃんと映像が浮かび、読み易い文体という二つのポイントが無ければ、僕の中では、そんなもの読む価値は無い。まあ僕は残念な事に、この作者の作品はこれが初めてだから、「今更何言ってんの」という話になるだろうけれど。

 最後に、なかなかやるなと思ったポイントを一つ述べておく。それは、けどとけれど問題について。僕はずっと、けどとけれど問題について考え続けてきた。それが、この小説を読んで、やっと答えを見つける事が出来た。それはとても嬉しい。

 本当に、読んで良かった。この作者を、知る事が出来て、嬉しい。ただそれだけ。