読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【映画感想】 スティーヴン・スピルバーグ/プライベート・ライアン

 十年ぐらい前に観てから、二回目の鑑賞となる。しかし、当時に観た記憶は殆ど無いため、初見のように楽しんで観る事が出来た。

 今更この映画をどうの、こうの言うのも恥ずかしいものがあるけれど、まぁ毎回感想文を書いているので、そういう気持ちを失くして書いていこうと思う。

 映画が始まってニ十分間が、映画史に残るニ十分間だと言われている。確かに素晴らしい。ハンディ・カメラでもって撮影されているので、手ぶれによって、臨場感であったり緊張感であったり、Kダブシャイン氏のリリックを引用すれば、「まるでここにいるのかと」思わせるような撮影方法。
 僕は手ぶれが大好きだ。POVが好きというところから始まって、そうだな、最初に手ぶれが凄いと思った映画は、ボーン・アイデンティティだったかな。まるで目が回るように、ぶれながら瞬間瞬間に様々なものが映し出され、スピード感溢れる映像に仕上がっている。

 しかしこれは、評価されると同時に、批判されるアイテムでもある。酔うだとか、前述したように、目が回るだとか、何を映しているのかわからないだとか、そういう事を言われる。僕からすりゃあ、「何言ってんの、映画観んな馬鹿野郎この野郎」って感じなんだけれど、観て文句を言うのは自由なので、そういう事は言わない。

 最初のニ十分間に、様々な物事が詰め込まれている。ゴア描写が苦手な方には、ちょっと辛いかもしれない。しかし、人を撃てば血が出る。爆弾を踏めば体が爆発する。そして死ぬ。そういった当たり前の事を隠すのは良くないと思う。僕なんかは、そういう描写を観て、「戦争というものは悲惨だ」と思うと同時に、どこか「格好いい」と思ってしまう。前述した手ぶれと相まって、ヒリヒリ、ピリピリする緊張感で包まれている。船で攻め込んで、今から突撃だ! というところで、機関銃でメタメタにされる。それをかわして乗り込んでも、地雷によって体が吹き飛ぶ。腕が吹き飛んだ兵士は、腕を探す。内臓が飛び散った兵士は、横になって死ぬのを待つ。海の色が血の色に変わっていく。悲惨だ。

 そして、悲惨というものはまだまだ終わらない。「お母さんに兄弟全員が戦死したとは伝え辛いから、戦場にいる、マット・デイモン演じるライアン二等兵を助け出せ」と、トム・ハンクス演じる中隊長は命じられる。そして八人が選ばれる。中隊長を含めた九人は、様々な事を思い、考える。「俺にだって母親はいるのに、何でコイツを助けなきゃいけないんだ」等々。中隊長も非難される。しかしお上からの命令は、絶対だ。

 ただの一兵士、ライアン二等兵を助けるためだけに選ばれたメンバーは、大変な思いをする。死ぬ人間も出てくる。仲間割れもする。これはウィキペディアを参照してもらえば分かる事だが、ライアン二等兵を助けるメンバーは、過酷な訓練を受け、ライアン二等兵に対する反感を植え付けられた上で撮影に挑んでいる。

 仲間が死に、大変な思いをし、ようやっとライアン二等兵を見つけ出す事が出来た。しかしライアン二等兵は、「何で俺だけなんだ! 俺にだって一緒に戦った仲間がいる。仲間を見捨てて俺だけ祖国に帰る事は出来ない」と言い、中隊長率いるメンバーはそこに残り……。

 決して、アメリカ賛美映画ではない。

 常に緊張感があり、目が離せない映画となっている。三時間近くある映画なのにも関わらず、全く退屈する事が無い。これは是非、トランス・フォーマー四作目も見習って欲しいものだ。四作目は泣くほど興味が出てこなくて、開始ニ十分で観るのをやめた。情けない映画だ。まあ、シリーズ全てが、テンプレートに沿った内容なので、どれを観ても内容は同じ、という話なのだが……。