読書感想ブログ

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【読書感想】 高橋源一郎/デビュー作を書くための超「小説」教室 感想

 読んで普通に面白かった。いつもの高橋源一郎が詰まっている。いつもの高橋源一郎というのは、文章だ。簡単に言ってしまえば読み易いという事になるんだけど、高橋源一郎の文章は一言では言い表せられないんだよな。その文章を目に入れたと同時に脳みそに高速に走る。意味がわかるわからないとかじゃない。美しい……でもないんだよな。だからすぐ読める。
 まあ本題に戻って。これはタイトル通り作家志望に向けた新人賞対策本だ。そこで目についたのは、それぞれの新人賞には受賞する傾向というものは無い、という内容。2ちゃんねるの創作文芸板なんかでは、「過去の受賞作を読んで選考委員も研究して出す」というのをよく言われたんだけど、高橋源一郎は「面白けりゃなんでもいい。傾向を作っているのは公募に出す志望者だ」と言っている。ファンタジーだからファンタジーしか送っちゃだめ、青春だから青春しか送っちゃだめ、そんなものは無いんだって。
 でもまあ基本としては、「これはこの間受賞した作品と似てるな」とか「よくあるネタだな」というのは駄目っていうのは、まあ当たり前。
 重要なのは、何度か繰り返された「新人に(小説に)、求められているのは、自由であること、なのです。」という一文。

 それだけでも面白く読めたんだけど、その先が良かった。選考委員の話。選考委員は選考する際に、「駄目なところを見つけてマイナスを付けて行き結論を出す」のではなく、「良いところがあるんじゃないか、あるんじゃないか」とプラスを探して結論を出す」らしい。
 で、選考が別れると、選考委員でじっくり話し合うらしい。そこでお互い理解しあうんだって。
あとワナビに重要な話があって、高橋源一郎は「よくわからないもの」を推す傾向があるらしいw高橋源一郎が選考している賞には、「よくわからないもの」を出そうw

 最後の受賞作および候補作の選評は読んでも読まなくてもいいかな、と思いながら読み進めていたけれど、いや、読んだ方がいいわ。
何故これが候補作に選ばれ、そして受賞しなかったのか――あるいは受賞したのか――というのが書かれていて、普通に勉強になるよ。

 中には候補作なしってのもあって、それにもちゃあんと、何で候補作なしになったのかという理由が書いてある。
 あと面白かったのは、文藝賞の話。売名の為に若者が受賞する傾向があるというのは、編集に苦言を呈したみたい。だけど三並夏平成マシンガンズが十五歳で受賞した時は、編集も「もうちょっと歳が行っていて欲しかった」って言ったんだって。
 何か噂だけが独り立ちしてふわふわしてるけど、違うんだっていうのがわかった。まあ、高橋源一郎が言っていることがすべて本当だとは思わないけど。
 佳作や受賞作に結構歳行ってる人がいて、ちょっと安心したw
 僕も頑張るぞー!