第七レツダンの第七ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

読書感想文

【読書感想文】 佐伯一麦/ショート・サーキット 【2005年刊行】

【概要】 私小説家佐伯一麦氏の初期作品集。 年代別に並べると、木を接ぐが海燕1984年11月号掲載、端午が海燕1988年2月号掲載、ショート・サーキットが海燕1990年4月号掲載、古河が海燕1991年9月号掲載、木の一族が新潮1994年1月号掲載。 著者から読者へにあ…

【読書感想文】 羽田圭介/スクラップ・アンド・ビルド 【2015年刊行】【第153回芥川龍之介賞受賞作品】

高校生でデビューして以来何度も何度も芥川龍之介賞の候補になるも落選し続けた羽田圭介氏の、ようやくの芥川龍之介賞受賞作品。 羽田圭介氏の作品を読むのはこれで二作目なので、とても楽しみにしていた。【概要】 スクラップ。 主人公である健斗は、「早く…

【読書感想文】 村上春樹/やがて哀しき外国語 【1997年刊行】

著者がプリンストンに住んでいた二年半の間に感じたことを書いたエッセイ集。紀行文かと思ったら、エッセイだった。「村上春樹の小説は嫌いだけどエッセイは好き」だとか「~同文~翻訳は好き」みたいな話はよく目にするので、「村上春樹かぁ」と思う人に読…

【読書感想文】 川村元気/世界から猫が消えたなら 【2014年刊行】

昔やり取りのあった女性が勧めてくれたので、アマゾンで購入した。2014年に。積ん読棚から「ライトな感じだろうし、これ読むか」と手にとって読んだ。 一言で言うなら、作者の川村さん、今すぐ僕んち来いや。とりあえずどついたるから。 あかんでほんま。あ…

【読書感想文】 村田沙耶香/殺人出産 【2016年刊行】

コンビニ人間でがっつりとやられてしまったので、積んでいた本作をすぐに崩した。 「アホやなぁ」の一言に尽きる。当然褒め言葉。設定も登場人物もぶっ飛んでいるSFなので、なんだか筒井康隆氏の短編集を読んでいるような気がした。殺人出産 表題作なんです…

【読書感想文】 村上春樹/雨天炎天 【1991年刊行】

ギリシャとトルコの紀行文。海外旅行をしたことがないので、大変興味深く時間を忘れて読んだ。 当たり前の話だが、日本の常識が通用しないところが特に面白い。ギリシャでは皆が皆黴の生えたパンを食べて、信仰のために厳しい生活をしている。トルコではウォ…

【読書感想文】 村田沙耶香/コンビニ人間 【2016年刊行】

第155回芥川龍之介賞受賞作。 やたらと話題になっていたので気になっていた。ようやく読めた。読み始めて、気がついたら終わっていた。 感情も恋愛経験も就職経験もセックス経験もなにもない、主人公古倉。簡単に述べてしまえば、この人には「当たり前」とい…

【読書感想文】 高橋源一郎/正義の見方 【1994年刊行】

たっぷりなユーモアで時事ネタを斬る! 声に出して笑うところもあった。しかし、時事ネタが古すぎて知らなくてわからないところもあった。でも仕方ないよな、94年に出た本なんだもん。 あえて今の時代に読む必要性は……ない。でも源一郎氏ファンなら楽しめる…

【読書感想文】 カズオ・イシグロ/わたしを離さないで 【2008年刊行】

ノーベル文学賞を受賞されたのことで、以前百円で買って積んでいたのを崩した。 時間をかけて読んだが、正直時間を返して貰いたいと思った。金はね、どうせ百円だからいいけれど、この本に費やした時間を返してくれ、と。 なのでまともに感想文を書く気にな…

【読書感想文】 黒田晶/メイド イン ジャパン 【2001年刊行】【文藝賞受賞作品】

この本を読むのは、刊行された十五年前、高校のクラス・メイトで仲の良かった男が、「すごい小説を見つけたぞ」と興奮して貸してくれて読んで以来だった。 中高生の男というのは大体においてグロテスクなものが好きだ。ゴア描写が好きだ。それは映画でも漫画…

【読書感想文】 高橋源一郎/いざとなりゃ本ぐらい読むわよ 【1997年刊行】

高橋源一郎氏の書評が面白いのは当たり前の話なので、この本が面白いというのも当たり前の話で、面白いと思って積ん読棚から取り出して数日かけて読んでみたわけだけれど、面白いよね。 ちょっと興奮していたのか、左手のすぐ隣りに置いてあった灰皿に手が当…

【読書感想文】 内田樹・高橋源一郎/どんどん沈む日本を愛せますか? 【2012年刊行】

渋谷陽一氏責任編集の雑誌SIGHTでの対談をまとめた、二冊目の対談集。 この三人にはブレがないので、基本的には前回と同じ主張のまま、政治について対談している。そこから教育の話に飛んだり、石坂洋次郎氏の青い山脈の話になったり。。 震災から三ヶ月後に…

【読書感想文】 佐伯一麦/ア・ルース・ボーイ 【1994年刊行】

古い付き合いの文芸友だちから紹介されたものの、数年間積んだままだった。どういう作家なのかもわからないし、どういうジャンルなのかもわからない。うだうだと読むのを先送りにしていた。 そして昨日、なんとなく手にとって読んでみた。そして、時間を忘れ…

【読書感想文】 北尾トロ/裁判長!ここは懲役4年でどうすか 【2006年刊行】

裁判というものにまったく詳しくない著書が、手探りで始めた傍聴を記録したもの。 事件の大小にこだわらず手当たり次第で傍聴するというスタイルを貫き、そこにあるドラマを追い求める。 次第にコツを掴み傍聴仲間も増えていく様に、単純にわくわくさせられ…

【読書感想文】 内田樹・高橋源一郎/沈む日本を愛せますか? 【2014年刊行】

渋谷陽一氏が編集長を勤める個人誌SIGHTで連載された対談をまとめたもの。 一応、政治に関して素人の内田樹・高橋源一郎両氏が好きに対談するというスタイルだが、僕みたいな政治に無知な人間からすると、とても勉強になった一冊だった。 注釈も丁寧に当てら…

【読書感想文】 村上春樹/中国行きのスロウ・ボート 【1986年刊行】

僕が生まれた年にリリースされた、村上春樹氏にとって最初の短編集。 ひとつひとつ感想文を書こうと思ったが、別にいいんじゃないかって。読んでいるあいだ、村上春樹の文章にずっと浸っていられた。 山も落ちもないのに楽しく読めちゃうんだよな。いつもの…

【読書感想文】 村上春樹/走ることについて語るときに僕の語ること 【2010年刊行】

タイトルのそのまま、村上春樹氏が走ることについて語ったもの。2005年から2006年にかけて、なぜ走るか、どんな練習をしたか、どんな大会に出たか、そしてどう思ったかについて書かれている。 年齢を重ねるにつれ、以前は難なくクリアできていたタイムをオー…

【読書感想文】 高橋弘希/スイミングスクール 【2017年刊行】

指の骨に続き、高橋弘希氏の小説を読んだのはこれで二作目。外れないな、という印象。しかし文芸誌で読んだ時は、ですます調が受け付けなくて読むのをやめた記憶が。 物語の核心に近づくと逸らせて別の角度からの物語が始まり、帯に書いてある、「私と母の間…

【読書感想文】 元少年A/絶歌 【2015年刊行】

神戸連続児童殺傷事件、通称酒鬼薔薇聖斗事件を起こした元少年Aの手記。僕は兵庫県出身で、この事件が起きた時は十歳前後だった。事件が起きて犯人が捕まった後も学校も地域もかなりピリピリしていて、集団での登下校の際、父兄ががっちりとついていたことを…

【読書感想文】 文村上春樹・絵安西水丸/村上朝日堂超短篇小説 夜のくもざる 【1998年刊行】

シュールな内容の掌編が三十六編収録した掌編集。意味とか考えちゃ駄目で、感じるままに読むのがいいでしょうな。だって本当に意味不明なんだもの。小説も、絵も。 例えば……と挙げるとネタバレになってしまうし、村上春樹氏も言っているように、ライトな物語…

【読書感想文】 歌野晶午/葉桜の季節に君を想うということ 【2007年刊行】

読みやすい文章で複数の話を混ぜながら進めるため、先が気になって仕方がなく、二日程度で読み終えてしまった。こういうのが徹夜本というんだな。 まぁ、なんというか、とてもよかった。スリル満点で、これぞミステリだね。

【読書感想文】 村上春樹/カンガルー日和 【1986年刊行】

村上春樹氏の掌編集。どうでもいい話だが、文庫本の刊行年が僕の生まれた歳だった。七十九刷だって。 不思議でおかしくて笑えて切なくて意味がわからなくて……。いつもの村上春樹節が詰まりに詰まった掌編が十七編。プラス短編が一編。 深く考えちゃいけない…

【読書感想文】 高橋源一郎/さよならクリストファー・ロビン 【2012年刊行】

連作集。高橋氏は連作が好きだね。筒井康隆氏も創作の極意と掟の中で、連作が合っていると評価していた。 この作品の前年にはかの問題作恋する原発を書いていたわけで。毎度毎度、小説ごとの作風の変化具合に驚かされる。 うーむしかし、どういう感想を書け…

【読書感想文】 高橋源一郎/丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2 【2016年刊行】

ぼくらの民主主義なんだぜの続編。とはいうものの、朝日新聞の連載は十二本だけで、残りは著者が様々な場所で書いてきた政治評論。こちらがメイン。 こういう内容の本の感想を書くのは難しい。僕は高橋源一郎氏の信者なので、どうしてもほとんどを肯定的に読…

【読書感想文】 野村進・調べる技術・書く技術 【2008年刊行】

四半世紀ノンフィクションに携わっていた氏が、ノンフィクション作家志望者へ向けて書いた技術書。 ここまで書くのか、と驚くぐらい手取り足取り一から十まで書かれている。目次を見るとその内容の濃さがわかってもらえると思うので、引用する。・第一章 テ…

【読書感想文】 高橋源一郎・山田詠美/顰蹙文学カフェ 【2011年刊行】

高橋源一郎氏と山田詠美氏、そしてゲスト一人の三人での対談をまとめたもの。 最初はこのお二人。次は島田雅彦氏、中原昌也氏、車谷長吉氏、古井由吉氏、瀬戸内寂聴先生。 タイトルにもあるように、顰蹙をテーマに対談している。外れが一つもなく、どの対談…

【読書感想文】 中村文則/土の中の子供 【2008年刊行】

二〇〇五年に芥川龍之介賞を受賞した表題作と、短編である蜘蛛の声の二作品が収録された一冊。 芥川龍之介賞受賞が納得できるものであり、中村文則氏の小説として期待を裏切らない作品だった。文庫本自体は薄いが中身はとても濃いものだった。 とは言うもの…

【読書感想文】 高橋源一郎/ぼくらの民主主義なんだぜ 【2015年刊行】

高橋源一郎氏が朝日新聞で月に一度連載している論壇時評の四年分をまとめた一冊。 新書は今までほとんど読んだことがなかったので、読んでどういう感想が出てくるかと期待した。 はっきり言うと僕は高橋源一郎氏の小説や書評、エッセイは大好きだが、政治関…

【読書感想文】 村上春樹/東京奇譚集 【2007年刊行】

【概要】 五編からなる短編集。外れなし。 一つずつ感想を書く。 【偶然の旅人】 【あらすじ】 彼はピアノの調律師をしている。41歳でゲイである。三歳下のボーイフレンドがいるが、別々に暮らしている。 彼は火曜日になると車で神奈川県にあるアウトレット…

【読書感想文】 夜釣十六/楽園 【第32回太宰治賞受賞作】【2017年刊行】

【あらすじ】 「引き継いでもらいたいものがある」 ――会ったこともない「祖父」から届いた一通の葉書。パチンコで稼ぎを食いつぶす警備員の圭太が遺産でももらえるかと出向いた先は、しかし、遠い昔に忘れ去られた廃鉱の窪地だった。コウモリのスープを食べ…