読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【映画感想文】【洋画】 アンディ・ムスキエティ/IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 【2017年感想】

【概要】 (Wikipedia引用)

 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(イットそれがみえたらおわり、IT)は、アンディ・ムスキエティ監督による2017年のアメリカ合衆国のホラー映画である(英語版)。
 2度目の映像化で初の劇場版であり、本作は小説の前半を映画化した。キャッチコピーは、『子供が消える町に、"それ"は現れる。』


【内容紹介】 (Wikipedia引用)

 1988年から物語は始まる。立て続けに起こる行方不明事件の最中、雨の日にビルの弟であるジョージーが行方不明となる。
 夏休みに入る頃、ルーザーズクラブのビル、リッチー、スタンリー、エディ、そしてバワーズらに暴行を受けて逃げてきた際に出会ったベン、薬局にて出会ったベバリー、バワーズらに暴行を受けているところでビルたちに助けて貰ったマイクと共に連続行方不明事件の謎を探ることとなる。
 それぞれ悩みを背負った少年少女たちが恐怖に立ち向かう姿を描く。

【感想】

 子どものころ、毎週土曜日は家族でレンタル・ビデオ店に行ってそれぞれなにか映画を借りるというイベントがあった。僕は基本的にホラーを借りていたのだが、その中の予告CMにこの映画のオリジナルのビデオが紹介されていた。予告CMだけで兄弟全員がものすごく恐怖に怯えたのを覚えている。

 それ以来トラウマになっていて、ようやくそれを観ることができたのは中学生になってからだった。二部構成で大人になった登場人物の一人が風呂場で剃刀で手首を切って自殺したシーンだけ強烈に記憶に残っていた。

 それから十数年後、まさかリメイクされるとは思ってもいなかった。ネットフリックスで配信していたので、さっそくリメイク版を観た。

 序盤の男の子が雨の中外へ出て下水道を覗き見るシーン。あー、そうだこのシーンあったなあと興奮した。問題を抱えた少年たちと行方不明者が続出する街。

 前半は結構怖いなと思ったが、徐々にトーン・ダウンしていった印象。だって、ペニーワイズが殺しにかかってないもん。怖がらせようとしてるだけ。あと少し傷を負わせるぐらい。
 だから、恐怖の緊張感が続かない。まあどうせ殺しにこないしな、と思ってしまう。

 まあでも少年少女が問題を解決していく姿は同じキング原作のスタンド・バイ・ミーな感じでちょっと感動したな。だからR指定なのが残念。子どもが観たらとても怖くて面白いと思うだろうなぁ。
 ホラー映画で一番売れた作品になったみたいね。

 そういやキング原作の映画はよく観てきたけれど原作はひとつも読んだことがないので、なにか読んでみようと思う。

 ベバリーがとても可愛いね。バワーズどうなったんだ?


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【読書感想文】 奥田英朗/イン・ザ・プール 【2006年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 精神科医伊良部シリーズ』の第1作。第127回直木賞候補になった。
 伊良部総合病院の地下にある神経科を訪れる人々と、彼らを診る医師を描いた作品。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。
 プール依存症、陰茎強直症、妄想癖……訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
 こいつは利口か、馬鹿か? 名医か、ヤブ医者か。


【感想】

 奥田英朗氏の名前は前からよく見聞きしていたが、読むのは初めて。数年前に誰かが「奥田英朗って人のイン・ザ・プールって本が面白いよ」と教えてくれたので買っておいたのだが、数年後の昨日棚を見たらなかったのでブック・オフで買ってきて読んだ。二作目が直木賞捕ってるみたいで気になったのよね。

 昼前にファミレス行ってランチ食いながら読んで、帰ってきてからも読んで。びっくりするぐらい面白かった。注射フェチでロリコンでマザコン精神科医伊良部と、美人で露出狂だが愛想のない看護師マユミのキャラがいいね。病気の内容もわけがわからなくて本人は必死に困っているが、読んでるこっちからすれば笑えて笑えて仕方がない。

 プールで泳いでる時の快感を求めて何度もプールへ通う会社員、ち○こが常に勃起状態になっている嫁を寝取られた男、美人な私には何十人ものストーカーがついてると訴えるコンパニオンの女、携帯依存症で常に誰かと繋がっていることを気にしている高校生、強迫性障害でなにもかもが気になって仕方ないルポライター

 ぐいぐい読ませる力があって一気に読んでしまった。次作の空中ブランコと町長選挙が楽しみだ。あとほかにも奥田英朗氏の本を買ってきたのでそれも楽しみだ。

 追伸。一度でいいからマユミちゃんみたいな看護師に注射されたいなぁ。


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【読書感想文】 さくらももこ/さくら日和 【2007年刊行】

【概要】

 言わずと知れたさくらももこ氏のエッセイ第三シリーズ第一弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 21世紀を前にして、人生最大の危機に陥ったももこさん。
 「ママは本当はさくらももこなんじゃないの?」と息子が疑いを抱き始めたのだ…。「深まる息子の疑惑」はじめ、父ヒロシを連れての社員旅行など、抱腹エピソードが満載。
 「おめでとう新福さん」で前代未聞のパーティーの主役となった、元担当編集者からの渾身の質問をお楽しみ巻末付録に。
 人気爆笑エッセイがますますパワーアップして登場。


【感想】

 相変わらず面白い。が、アマゾンを見ると、結構言われてるね。さくらももこ氏のエッセイを読むと平和を実感できる。「あ~、今日も平和だなぁ」とほっとする。
 内輪ネタが多めなのでこれから読むとなんのこっちゃわからんだろうけれど、父ヒロシと息子の話を読んであははぁと笑えればそれでよいのだ。


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【読書感想文】 野坂昭如/アメリカひじき・火垂るの墓 【1968年刊行】

【概要】

 言わずと知れた野坂昭如氏の第58回直木三十五賞受賞作を収録した短編集。
 火垂るの墓アメリカひじき、焼土層、死児を育てる、ラ・クンパルシータ、プアボーイの六編からなり、火垂るの墓アメリカひじきが受賞した。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。虱だらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ四歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしくとびかった――
 浮浪児兄妹の餓死までを独自の文体で印象深く描いた『火垂るの墓』、そして『アメリカひじき』の直木賞受賞の二作をはじめ、著者の作家的原点を示す6編。


【感想】

 火垂るの墓は、言わずもがなですよねぇ。アニメ映画は何度ももう観ないと思いつつも何度も観てしまっていたのであらすじは知っていたが、文章で読むとまた違った感じがあっていいね。小母さんの言ってることももっともだという意見はよく耳にするが、アニメ映画も原作も、あたしゃあ全然そんなこと思わない。読んでてつらいよ。でも数十年前にはこれが日常だったのよね。

 アメリカひじきは一転、笑えて笑えて仕方がない。終戦直後ってこういう感じだったのねえと。パラシュートで食料品が落ちてきた。新型の爆弾や言うて驚いて、食料が入ってるとわかったら我先に、紅茶の葉なんて見たことないから茹でてみたり焼いてみたり、それがアメリカのひじきや言うてしがんでみるけどくっそ不味い。配給で七日分のチューインガム、噛んでも噛んでも腹は膨れん、くっちゃくっちゃ噛んで吐き捨てて。ワイハでお世話んなったアメリカ人の老夫婦が来るからもてなしやって嫁はんが張り切るけどあの白豚どもそんなもてなしも関係あらへん、主人公がパンパン世話したり酒やのなんやのしてもなんにも思っとらん。しまいめには無視しょおる。アメリカへのあこがれやコンプレックスやついこないだまでは鬼畜米英や言うてたのにアメリカさんアメリカさん言い出したとまどいとかが流れるように縦横無尽に描かれてて、ドトールで笑いこらえるのに苦労したわ。

 焼土層は、養子に出された主人公が産みのおかん死んだ言われて神戸に戻るわけやけど、最後の二頁は読むのもつらいというか切ないというか、後悔。そんなんやったらもっとちゃんとしといたらよかったっていう。

 死児を育てるは、自分の子供殺してもうた嫁はんが、過去に……いやあこれは言うたらあかんか。

 ラ・クンパルシータ、餓死恐怖症や言うて兎に角もう飯を食いたい、おかんの着物黙って換金して米を食べる。それがどんどんエスカレートしよって、少年院や。牛みたいに食うたもんを反芻してまたくちゃくちゃ言わす、つまりそれってゲロなんよなあと思ったらなんや気持ち悪う感じて、でも普通に飯を食うことがでけへんっていうことは今生きとる僕にはやっぱり本質では理解できてなくて、ご飯はなにもつけなくてもそれだけで甘くて旨くて涙が出るって、なんやほんまに僕らは恵まれとるんやな思て、晩飯にご飯食わないダイエットなんやしとる場合とちゃうなと思うけど、まあそれはちょっと許してほしい。

 プアボーイ、「淫売婦の子オが学校へ行くなんか無理やわ」って悲しい一言やなあ。「住所は」「不定や」で笑ってもうたやないけ。


 前編通して飯を食うシーンが印象的。母親の形見の着物も飯に換えて。あと、普通に人死ぬね。そういう時代だからあれだけれど、別に感慨深くもなくもったいつけるわけでもなく、ただ一言「死んだ」って。無茶苦茶な話だよね。
 まあこのぐらいの感想で許してください。


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【映画感想文】 森達也/FAKE 【2016年公開】

【概要】 (Wikipedia引用)

 2016年制作の日本のドキュメンタリー映画ゴーストライター問題が発覚し、渦中の人物となっていた佐村河内守を中心に、彼を取材するテレビ関係者、真偽を確かめに来る海外のジャーナリストなどを1年4か月[1]に渡って追ったドキュメンタリー作品。


【内容紹介】 (Wikipedia引用)

 聴覚障害をもちながら『交響曲第1番《HIROSHIMA》』など作曲をし、一時は現代のベートーベンと持ち上げられた音楽家佐村河内守。しかしその後、神山典士が持ち込んだ週刊文春掲載の告発記事により、「作曲はしていない」「実は耳が聞こえるんじゃないか」と一躍非難の的となる。

 タイトルとなる「FAKE」には見せかける。いんちき、虚報などの意味がある。はたして佐村河内守はどこまで嘘をついていたのか。真実は何か。ドキュメンタリー作家・森達也が15年ぶりに臨む単独監督作品。キャッチコピーは「誰にも言わないでください、衝撃の12分間」。


【感想】

 森達也氏の映画はどれも観ようとは思っていたがついつい先延ばししてしまっていた。ようやく観ることができた。

「メディアが佐村河内守氏のフェイクに気づけずもてはやしてしまったことに対する復讐を佐村河内守氏本人にしている」と主張しているわけだが、フジテレビの一件を観るとたしかにそうかもしれないと思ってしまう。

 佐村河内守は障害者を食い物にしていじめているという意見には、実際に長い付き合いの障害者の女性を出して反論する。
 あくまでも新垣隆氏が嘘をついている、神山典士氏は間違っていると氏は主張する。

 たらればを言っても仕方がないが、新垣隆氏と神山典士氏にインタビューできていたらもっとよかったのなと思った。

 ラストの十二分とやらについては一切書きません。実際に観てください。二時間ぐらいですし。


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【読書感想文】 村田沙耶香/授乳 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れた芥川龍之介賞作家村田沙耶香氏の、第46回群像新人文学賞優秀賞受賞作品を収録した短編集。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を少しだけ持つ父。その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。「―ねえ、ゲームしようよ」。
 表題作他2編。


【感想】

 相変わらずわけわからん。授乳は家庭不和でリスト・カットする家庭教師に乳を吸わせるだけの話だが、読ませるね。群像録っただけあるね。神経質の母の気持ちはちょっとわかるな。僕も食事作る時はちゃんと計らないと気がすまない。
 それ以外はさっぱりわからん。
 コイビトはぬいぐるみが恋人の主人公と小学生の美佐子が出会ってなんやかやと。美佐子がぬいぐるみとの子どもが欲しいと言い出したところは、こりゃまったくわけわからんなと思った。
 御伽の部屋は読んでない。興味がわかないし、なんかもうおなかいっぱいで。わけわからんが胃にたまりすぎて疲れた。

 殺人出産ほどぶっ飛んでないから中途半端だなあ。まあ初期短編集だから仕方ないが、少し期待しすぎたか。


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【読書感想文】 中島らも/変!! 【2010年刊行】

【概要】

 言わずと知れた中島らも氏のエッセイ集。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 「私事、この度、無事死去つかまつり候。…」と生前に妙な「死亡案内」を出した落語家。通勤電車の中で、オナラをしたしないで「つかみ合い」のケンカをするサラリーマン。凄い剣幕でリングに乱入しマイクを奪うが、いきなり「こんばんは」と拶挨してしまうレスラー。
 奇想の天才が綴った世の中の「変」が大集合。抱腹絶倒間違いなしのエッセイ集。
 文庫化に際しひさうちみちお松尾貴史の特別対談収録。


【感想】

 1988年のエッセイであるから、つまり今から三十年前でして、わたくしが二歳の時のエッセイであります。

 いくつか既視感のあるエッセイもあったので、もしかしたら昔読んだのかもしれない。でも読書メーターの最古記録は2009年で、この本が2010年刊行だから計算が合わない。ベスト的なもので読んだのかもしれないな。

 二十歳前後の僕といえば、筒井康隆氏と中島らも氏ばかり読んでいた。中学の頃ぐらいにできた古本屋はライト・ノベルを百円で五冊だとか文庫本を百円で三冊だとか売っていて、金はないが暇はある僕にとってパラダイスだった。ゲームは禁止、バラエティ番組も禁止、自分の部屋にはテレビがないので、ラジオを聴くか本を読むかしか娯楽がない。
 そこには一日中漫画を立ち読みしている不登校の同級生や裏で煙草をふかしているヤンキーなんかがいて、なかなか楽しい場所だった。

 そして僕が二十歳前後の時についに文庫本を売らずに外に放置するようになった。ご自由にお持ち帰りくださいという文庫本が腐るほどあった。マイ・カーを持っていたので仕事をサボった時に行って一回に五十冊ほどご自由にお持ち帰った。
 その中に筒井康隆氏の短編集と中島らも氏のエッセイがたくさんあった。読んで読んで読みまくった。仕事場へ持っていって休憩時間や昼休みにも読んだ。

 どちらももう面白すぎてやめられないとまらない。

 この変!!の中にはタイトル通り様々な変が収録されている。絹でできた大麻草のハリボテを置くバーや、ティッシュを使うのが面倒で買い物袋に放出していたら袋を見ただけで勃起する男、等々。

 バカ笑いしながら一気に読んでしまった。

 (ちなみに、らも氏を知ったのは深夜にやっていた最後の晩餐というバラエティ番組だった。その後は爆笑問題のススメという番組にも出ていたっけ。下痢が止まらないとか言ってたなぁ。)


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