【読書感想文】 村上春樹/騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編
概要
村上春樹氏の言わずと知れた長編最新作の上巻。
あらすじ(Wikipedia引用)
妻との離婚話しから自宅を離れ、友人の父親である日本画家のアトリエに借り暮らしすることになった肖像画家の「私」は、アトリエの屋根裏で『騎士団長殺し』というタイトルの日本画を発見する。
アトリエ裏の雑木林に小さな祠と石積みの塚があり、塚を掘ると地中から石組みの石室が現れ、中には仏具と思われる鈴が納められていた。日本画と石室・鈴を解放したことでイデアが顕れ、さまざまな事象が連鎖する不思議な出来事へと巻き込まれてゆく。
感想
やはり主人公は妻から逃げられる。やはり不倫をされていたという事実に対して相手に怒りをぶつけるのではなく、別のもので発散する。
116頁で免色が出てきてから、ようやく物語が始まる。まあスロー・スターターはいつものこと。
僕は免色というキャラクターがとても気に入ってしまったので、出てこない場面は少し退屈に感じた。主人公と人妻のセックス描写は、退屈を通り越してもう勘弁してもらいたいと思った。テレフォン・セックスだとかカー・セックスだとか、クリトリスがどうとか、これまでもあまりいい気はしなかったが、騎士団長殺しは特にそれが目立つ。
顔立ちは整っていて金はいっぱい持っていて、豪邸に住んでいて正確もとてもよい。免色。
388頁に書かれていることはとても興味深かった。長いので引用はしない。
まりえの登場はもう少し違うやりかたがよかった。前から主人公が気になっていたとか、そういうものが欲しかった。
あと個人的に気になったのは、「私」ということばが多すぎる。一人称だからもっと削除すべき。
と、マイナス・ポイントばかり述べましたが、やはり村上春樹氏の小説は面白い。どっぷりと物語の世界に没入できた。購入を一年我慢したかいがある。
2018年度 最後まで読めなかった本をまとめたもの
一度読み始めたものはなにがあっても読み切る、をルールとしていたが、読書に使える時間は有限のため、面白くないと思ったら即時売却用の段ボールに放り込むことに決めました。
いつなにを最後まで読めなかったのか記録しておく必要があるので、ここにまとめます。
2018年2月21日
円城塔/オブ・ザ・ベースボール
2018年2月24日
片岡義男/と、彼女は言った
川上未映子/乳と卵
酷い。冒頭でもう無理。
2018年2月25日
中島らも/訊け
漢方とか気とか気功とか興味なさすぎで60頁でギヴ・アップ。
中原昌也/あらゆる場所に花束が……
掌編はよかったのにな。
2018年3月5日
赤染晶子/WANTED!! かい人21面相
乙女の密告は傑作だったけどこれはつまんないね。
2018年3月27日
川上弘美/蛇を踏む
44頁でギブ。会話はつまらんし蛇が云々とか興味なし。
【読書感想文】 中場利一/岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 【2010年刊行】
【概要】
中場利一氏の、言わずと知れた自伝的小説の第二弾。
【感想】
勘違いしていた。血煙り純情篇と望郷篇がずっと積ん読棚に並んでいたので、一作目は読んで二作目と三作目は未読なのかと思っていたが、読書メーターを見ると二作目と三作目を六年前に読んでいた。じゃあなぜ積ん読棚に新品の状態のままで保管されていたのだろう……?
どうせシリーズ読み直すなら、一作目から読みたかったなあ。
感想だった。
悪ガキたちの青春小説。殴った・殴られたというようなライトな暴力ではなく、鼻だけを何度も何度も殴り続ける、包丁で刺す、トイレの手洗い場に顔面を叩きつける、ロープで縛って海に突き落とす……。
目を覆いたくなるような暴力のオンパレードだが、あくまでもこれは小説なので、ファンタジーだと思ったほうがいい。
この小説が優れているところは、隠しておきたい自分の恥部をさらけ出しているところだろう。ボロクソのメタクソにされるところも描かれているし、女に腑抜けにされてモブキャラに土下座させられたところ、カオルちゃんを目の前にすると普段の威勢のよさが消えるところ、等々。まあ当たり前の話なのだが。
登場人物のやりとりは漫才じみていて笑えるし、喧嘩のシーンは爽快感があるし、友情や家族を大切にしているところには好感を持てる。
「生まれ変わったらまた会おうな! そのときはリョーコのこと、もっともっと大事にしてや」というリョーコの台詞がとても胸に刺さった。
……が、ラストがなんかおもてたんとちがーう。
【映画感想文】【邦画】 赤堀雅秋/葛城事件 【2016年公開】
【解説】(Yahoo!映画引用)
劇団THE SHAMPOO HATの旗揚げメンバーで劇作家にして、『その夜の侍』で監督も務めた赤堀雅秋がメガホンを取ったヒューマンドラマ。
次男が無差別殺人を起こして死刑囚となってしまったことで運命が狂い出した、ある家族の行く末を見つめる。
『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』などの三浦友和、『さよなら歌舞伎町』などの南果歩をはじめ、新井浩文、若葉竜也らが出演。家族、死刑、贖罪(しょくざい)などさまざまなテーマをはらんだ物語に圧倒される。
【あらすじ】(Yahoo!映画引用)
父親から受け継いだ小さな金物屋を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れ、妻の伸子(南果歩)と共に長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた葛城清(三浦友和)。
理想の家族と生活を築いたと考えていた彼だったが、21歳になった稔が8人を殺傷する無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。
自分の育て方に間違いがあったのかと清が自問自答する中、伸子は精神的に病んでしまい、保は勤めていた広告代理店を解雇される。やがて、稔と獄中結婚したという女・星野が現れ……。
【感想】
いや~、とにかく暗い。そして葛城一家の四人の演技がとてもいい。
個人的にとてもよかったポイントは三つ。清が中華料理屋でクレームをつけるところ、母子三人の時は楽しげな雰囲気が漂っていたのに、父がそこへ入った瞬間に空気が変わるところ、稔の殺戮シーン。
殺戮シーンはとても怖かった。星野の意味不明さも怖かった。
マイナス・ポイントは、後半がかなりたいくつで面倒くさくなったところ。
【読書感想文】 堀江貴文/刑務所なう。 完全版 【2014年刊行】
【概要】
言わずと知れた堀江貴文氏の獄中記。
【感想文】
まず、とても面白い。単純な日記の部分だけではなく、時事ネタにコメントしたり面会の様子が描かれており飽きさせない。間に挟む西アズナブル氏の漫画は単に日記を起こしたものなので最初は物足りないと思っていたが、読んだばかりの活字が漫画になる面白さがわかってきて、途中から楽しめるようになった。
面白いんだけれど、670頁はちょっと長すぎないか?
三分の二ぐらいまでは興味津々で読んでいたが、以降はちょっと飽きてきてつらかった。せめてなう。を二冊とかに分冊してほしかった。一応先日続編である刑務所わず。も買ってきたが、しばらく置いておこう……。
笑ったり感心したりする部分も多く、そこを引用して感想をつけようと思ったが、読むだけで体力をかなり使ったのでご勘弁を。その間ほとんどほかの本読めなかったし……。