読書感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 東野圭吾/予知夢 【2003年刊行】

【概要】

 言わずと知れたガリレオ・シリーズの第二弾。

 第一章・夢想る(ゆめみる)
 第二章・霊視る(みえる)
 第三章・騒霊ぐ(さわぐ)
 第四章・絞殺る(しめる)
 第五章・予知る(しる)

 の五編の短編が収められています。


【感想】

 僕がこのシリーズにはまったのは、僕がミステリ初心者だからなのかもしれないと思った。というのも、この歳になるまでミステリと時代小説と歴史小説を意識的に避けていたので、新鮮さもあるのかもしれない。
 ただ単に人が死んで解決するというわけではない、ということがわかった。

 ミステリを避けていた理由は、子どもの頃に読んでいた金田一少年の事件簿でトリックも犯人もさっぱり推理できずに懸賞に出せなかったから。「推理を楽しめないならこういう系は全然楽しめないものなのだ」と子どもながらに考えてしまって、じゃあいいや、と。
 それから何年も経ってから、ゲームのかまいたちの夜に寝食を忘れるほどはまり込んで少し考えを改め、ごくたまにちょくちょく読んでいた。そしてこの歳になってミステリにはまり込む。きっかけはこのブログにもある、歌野晶午氏の葉桜の季節に君を想うということを読んで。

 本の感想になっていないことに気づいたので述べておくと、一冊目より人間ドラマが強くなった気がした。だから登場人物の哀愁が感じられてとてもよかった。


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【読書感想文】 東野圭吾/探偵ガリレオ 【2002年刊行】

 こら、おもろい! あっぱれや!


【概要】

 突然人体が発火する、行方不明の男の顔がアルミに移り型どられた、浴槽に浸かったまま死んだ男の胸の一部だけ壊死していた、突然海岸で火柱が上がり女性が爆死した、男児幽体離脱して容疑者のアリバイを証明した……。

 物理学の助教授湯川と巡査部長の草薙が、科学を駆使してこの超常現象を解決するシリーズ。


【感想】

 正直まあ、馬鹿にしてましたけどね。実写版の福山雅治氏の決め台詞とか、「アホか」みたいなね。原作もまあそんなもんだろうと思って読み始めたら……

 読むのが止まらんわ!

 というわけで、こんなものをどうやって科学で証明するのか、というのが気になって気になって一気に読んでしまい、すぐに二巻を買い求めに走ったのでした。そして二巻を読んでいる最中に三巻を買い求めに走ったのでした。そんなことよりカレー作ったからこれから食べるんです。その後二巻を読むんです。完。


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【読書感想文】 池波正太郎/剣客商売四 天魔 【2002年刊行】

【感想】

 シリーズ四巻目。相変わらず「粋」で格好いいですな。作中で描かれる料理はどれもとても旨そうで、読んでいると腹が減って仕方がない。

 しかしなんだな、物語としての面白さが巻を重ねるごとにパワー・アップしているような気がする。

 文章は無駄を省きスタイリッシュで、ミステリじみた話もある。先が気になって気になって、読むのが止まらない。
 毛饅頭の話は大いに笑わせてもらった。

 うーん、他に書くことがないな。


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【読書感想文】 高橋源一郎/「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について 【2012年刊行】

【概要】

 「あの日」が起きた瞬間から年が明けるまでのツイッターでのつぶやきをまとめた「日記」の章と、同時期に様々な媒体で書かれた文章の一部を掲載した「文章」の章の二部構成の本。


【感想】

 「日記」の章を読みながら、「これはとんでもない傑作だぞ」と震えた。ツイッターのつぶやきは短い日記のようなものだなと再確認した。
 東日本大震災の日からの自身や自身の家族、近所の人たちの混乱や恐怖がリアル・タイムでわかり、とても緊張感があってよい。
 それから徐々に日常を取り戻していく様、幼い子ども二人の成長、つぶやきを連続投稿して一つの文章にする「深夜0時の小説ラジオ」があり、著名人のフォロワーとの会話があり、著者の生活を覗き見しているような気分になって面白い。

 が……。

 「文章」の章がいただけない。いや、スタイルとしてはとてもいい。ツイッターと連携しているスタイルはとてもいい。例えば「どこそこになにを書いた」とつぶやいたものが「文章」の章に掲載されているのはとても面白い。あと「どこそこへ行ってきた」というのが詳しく述べられていたり。

 でも、冒頭だけとか連載一回だけとか「(以下、続く)」が多い。あとがきで氏がその理由を述べていたが、正直それは全然効果的じゃなかった。冒頭だけ読まされてもなぁ……と。気になるものは続きを読みたいとも思ったが、後半は冒頭ばかりになってきたので、気分としても乗り切れず流し読みになってしまった。

 ツイッターをまとめた部分だけなら、文句なしの傑作だった。常にツイッターを見ているわけじゃないし一人のツイートをずっと追うこともしないし、なにより目が疲れるので長時間は辛い、でもまとめて読みたい。僕はそう思った。正直な話、ツイートをまとめた本ってとっても面白いね。日記文学だね。


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【読書感想文】 爆笑問題/爆笑問題のふざけんな、俺たち!! 【2007年刊行】

【概要】

 爆笑問題の太田氏と田中氏が、時事ネタで短い漫才を繰り広げるシリーズ第五弾。


【感想】

 タイトルにもあるように、2004年から2005年の時事ネタを取り上げているので、ネタは古い。
 しかし、とても面白い。
 時事ネタってその時その時じゃないと楽しめないかもしれないと思っていたが、そんなもの関係なかった。
 一つ一つが短くて笑えるので、止め時が見つからずに一気に読んでしまった。
 このシリーズを集めようと思う。いいものに出会えた。

 漫才って観るのも楽しいが、読むのも楽しいね。漫才とか落語とかいろいろ読んでいきたい。


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【読書感想文】 東野圭吾/マスカレード・イブ 【2014年刊行】

【概要】

 『「マスカレード」シリーズ』の第2作で、前作『マスカレード・ホテル』の前日憚となる連作短編集。
 以上、ウィキペディアより引用。粗筋とかその他諸々はウィキペディアで検索してください。詳しく書かれています。


【感想】

 マスカレード・ホテルの前日譚で、短編二つと中編一つ。相変わらずの面白さ。裏表紙には「お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。」とあるが、的確に表している。こりゃあ売れるわな。この前に酷い小説を読まされたせいか、余計に面白く感じた。もう文字を読むのももどかしいぐらい先が気になって仕方がなかった。

 前作がよかったのでハードルが高くなったが、それを楽にクリアされてしまった。

 読後感もとてもよい。さて、三作目も買っておこうか。三作目はもう少し厳しくやりたいもんだね。

 とんでもなく短い感想文になったが、もう別に、面白い小説には面白かったぐらいしか述べることがないんだよね。文章も相変わらず簡潔で読みやすい。一日かからずに読み終わると思うよ。

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【読書感想文】 住野よる/君の膵臓を食べたい 【2017年刊行】

この小説のファンの方は、この感想文を読まないでください。責任は持ちません。以上。


【概要】

 言わずと知れた大ベストセラー。インターネットの投稿サイトから発掘されて書籍化に至ったと。だから文章に関してはまったく期待していなかった。下手くそでも面白ければ、キャラに魅力があれば、もうそれだけでいいと。
 結論といたしましては、面白くもないしキャラに魅力もないという、なかなかに衝撃的な一作だった。読み始めてすぐに、「チッ……ムカつくな」と思った。しかし、せっかく開いたんだから最後まで読みたい。だったらもう、「チッ……ムカつくな」と思ったところに付箋を貼るのを楽しみに読み進めるしかないなと。


【粗筋】(Wikipedia引用)

 「君の膵臓をたべたい」…主人公である「僕」が病院で偶然拾った1冊の「共病文庫」というタイトルの文庫本。

それは「僕」のクラスメイトである山内桜良 (やまうち さくら) が綴っていた、秘密の日記帳であり、彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが記されていた。

「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、身内以外で唯一桜良の病気を知る人物となる。

「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことにより、「僕」、桜良という正反対の性格の2人が、互いに自分の欠けている部分を持っているそれぞれに憧れを持ち、次第に心を通わせていきながら成長していく。そして「僕」は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。桜良は恋人や友人を必要としない僕が初めて関わり合いを持ちたい人に選んでくれたことにより「初めて私自身として必要されている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じていく。


【感想】

 この小説をさ、作者はさ、真面目に書いたのかな? ウィキペディアの登場人物紹介見て笑ったんだけど、主人公のところに「友人や恋人などの関わり合いを必要とせず、人間関係を自己完結する。」とか書いてあって。人とのコミュニケーションより読書が好き、コーヒーにはミルクも砂糖も入れずブラックで飲む、常にクールで女の子からのアプローチも軽く受け流し……。

 痛々しい中学生ですか?

 これ、高校生の設定だよね。いやでも待てよ。こういう痛々しい設定が実は後々で生きてくるんだよ。ごめんごめん、早とちりしちゃったよ。こういう痛々しい男が女の子との交流を経て感情を持った人間らしい男へと成長していく……。

 自分で書いておいてなんですが、くっそ寒いですね。

 よーし頑張って読み進めるぞお。痛々しい場所に付箋を貼って、溜飲を下げよう! 中学生レベルの痛々しい思考の魅力皆無の主人公と、理解不能の言動を繰り返す魅力皆無の頭も股も緩い脳みそお花畑のアホ女のクソつまんねえ会話が延々と繰り返されるが、そんなのにいちいち苛々しない。「うわははは」とアホ女は笑うわけだが、こういう文章が下手くそでネタも世界の中心で、愛をさけぶの二億番煎じのネタしか書けない作家って、わけのわからないところで個性を出そうとするよね。世界から猫が消えたならでも指摘したポイントだけれど、ただただ苛々して読む気失せる効力しかないわけだから、そういうのもうやめてほしいね。あとそういうのに限って馬鹿みたいな比喩を多用するよね。でもそういうことでもいちいち苛々しない。ていうか別にセックスしてるわけでもないのに痛々しい馬鹿とアホ女が二人きりでいるところを発見しただけで激怒して痛々しい馬鹿につっかかる自称親友の脳みそクルクルパーとか、アホ女と交流持った途端痛々しい馬鹿の靴やらなんやらを隠し始めるただの記号的なクラスメイトやら、アホ女の元カレで学級委員のイイ奴が痛々しい馬鹿とアホ女の間を裂いてまたアホ女と付き合いたいと思っている外面はいいが内面はクズというよくあるパターンのなんのひねりもない都合のいいキャラクターとか、出てくるやつどいつもこいつも魅力がなくて外見の描写もほとんどないからどんなキャラなのかさっぱりわからんけど、そういうことでもいちいち苛々しない。タイトルもそのまんまだし最後の最後までただひたすらクソつまんない会話が繰り返されるだけで驚きのエンドとかもないし痛々しい男が天真爛漫な女の子との交流を経て人間になっていくみたいな小学生レベルの人間模様も別になにも思わないし結局なんだよ膵臓の病気で死なないのかよ、と思ったけれどいちいち苛々しない。アホ女の家で二人でゲームするわけだが、なんでこの時代にスーパーファミコンなのか、あえてスーパーファミコンという理由もなにもないけれどいちいち苛々しない。

 あー苛々しない。

 全然苛々してないよ。


 ・(キリッ)

 部屋で僕は大抵の時間、本を読んでいる。指南書や自己啓発本は好まず、小説をすすんで読む。(キリッ)(2頁)

 僕は、クラスメイトの他愛無い失敗や、単純な恋模様に興味を持てるほど、退屈な物語しか知らない人間ではなかった。(キリッ)(48頁)

 「ふーん、一番好きな小説家は名前と一緒?
 「違う。一番は、太宰治(キリッ)
 「そんな暗そうなのが好きなんだぁ」
 「確かに小説の雰囲気は思い詰めたような太宰治の精神が文面を通して伝わってくるようだけどね、暗いという言葉では片付けられないよ」
(キリッ)(92頁)

 久しぶりのアルコールは、爽やかな香りと裏腹に甘ったるかった。(キリッ)(126頁)

 


 ・うるせーボケ、喋んなカス

 「どうだろう。いれば楽しかったのかもしれないけど、僕は現実の世界よりも小説の中の方が楽しいって信じてるから」(45頁)
「うるせーボケ、喋んなカス」

 四時間目までの試験を終えて、今回もクラス平均より少し上くらいの点数を上手く取れているだろうという予感を得てから、僕は特に誰とコミュニケーションをとることもなく掃除をし、帰りの準備をした。
「うるせーボケ、喋んなカス」

 彼女がいなくなれば、また元の生活に戻るだけだ。誰とも関わらず、小説の世界に身をひそめる。そんな毎日に、戻る。決して悪いものじゃない。(104頁)
「うるせーボケ、喋んなカス」

 って、僕は誰に言い訳をしているのだろうか。
 そう、言い訳。強硬姿勢をとって彼女とは別行動をする、それが僕にはできたはずだ。彼女も無理には止めなかったろう。しかし、僕は僕の意思でそれをしなかった。理由は? さあ、分からない。
(117頁)
「うるせーボケ、喋んなカス」

 僕が知りたいのは、彼女という人間がどうやってできあがったのかということだ。
(中略)
 理由は、単純に不思議だと思ったから。僕と彼女の二つの人間性の成立、二つの間に一体どんな人生の隔たりがあったのだろうか。
(134頁)
「うるせーボケ、喋んなカス」

 僕は時間を持て余し、カーテンの隙間から外を見た。繁華街はまだ人工的な光に彩られ、眠るつもりなんて毛ほどもなさそうだった。(141頁)
「うるせーボケ、喋んなカス」

 184頁から194頁
 198頁
 215頁
 220頁
まとめて、「うるせーボケ、喋んなカス」


 229頁以降付箋なし。なぜならあまりの退屈さに限界が来て、飛ばし飛ばしで読んだから。最後の行を読んで思ったのは、はーようやくこの苦行から開放された! でした。
 ここまでつまらない小説を書けるのも、一つの才能だなと思いました。どうもありがとうございました。


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