れつだん先生メンバーの感想ブログ

感想文をバシバシガシガシ書きます。

【読書感想文】 石田衣良/七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV 【2018年刊行】

概要

 石田衣良氏の人気シリーズ池袋ウエストゲートパークの第十四弾。

内容紹介

 常に現代を映し出す、超人気シリーズ最新刊!

 SNSで課題をクリアして「いいね」を獲得するゲームが若者に流行。次第にエスカレートする課題に「いいね」欲しさに挑み、ある者は大怪我を、ある者は命を落とすという事態に……。怪我した高校生の妹と共に卑劣なゲームの管理人をあぶりだそうとするマコトとタカシが仕掛けた大掛かりなトラップとは。

 スキャンダル一発ですべてを失う芸能人、お手軽な欲望が横行する出会いカフェ、病んだ身内をひた隠しにする親族監禁――どこか現実の事件を思わせる事件を、池袋のトラブルシューター、マコトとGボーイズを率いるキング、タカシが軽やかに解決する4篇を収録。
『七つの試練 池袋ウエストゲートパークⅩⅣ』石田衣良 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

感想

 二十代の若者でクラシックに詳しくネットやスマホを否定する主人公マコト、その主人公と友人の池袋のギャングを束ねるタカシのイチャイチャ、読みやすい文章で短くまとめられたお話。

 平さんは、読者のニーズにちゃんと答えて素晴らしいプロフェッショナルだなと。時代小説みたいなものなんだけれどちゃんと女性読者のことも考えて、僕みたいなアホにも読めるサクッと感。
 カラーギャングなんかもうフィクションなので抗争とかそういうのはもうやらない。なので事件の内容は現実離れせず。

 シリーズなんで、わけのわからないことはしちゃいけない。「ああ、池袋シリーズを読んでいるんだな」という安心があればよい。
 今回出てきた生意気な女子中学生が可愛いね。僕もおっさんになったから、女子中学生とか女子高生とか子どもを見ているようで微笑ましいね。
 昔出てきたキャラも再登場したり、やっぱり読者のことをよくわかってる。平さんは。

 復活以降はマコトとタカシは歳を取らなくなったのかな。


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【読書感想文】 東野圭吾/歪笑小説 【2012年刊行】

 さて、東野圭吾氏の歪笑小説の感想文です。

概要

 東野圭吾氏の◯笑小説シリーズ第四弾。これまでとは異なり、文壇関係者を描いた連作短編集となっている。

あらすじ

・伝説の男
 灸英社書籍出版部に配属された青山。ミステリ小説を出版したいという青山にとって、その職場はまさに夢の職場だった。伝説の編集者であった編集長、獅子取のもとへ挨拶へ行くと、初っ端から「スポーツは出来るか」と質問された。なぜそんなことを聞いたのか。青山は後に知ることとなる。

・夢の映像化
 新米作家、熱海圭介のデビュー作『撃鉄のポエム』が2時間ドラマ化する企画が出された。圭介は有頂天で、友人、親や親戚などに言いふらしてまわる。あの有名俳優に演じて欲しい、などと勝手な妄想を抱く圭介のもとに送られてきた企画書は、原作には全く忠実でなかった。無論圭介は怒りだし……。

序ノ口
 灸英社のゴルフコンペに無理やり参加させられてしまった唐傘ザンゲ。全く乗り気ではなかったが、灸英社編集長・獅子取にそそのかされてしまう。しかも向かう車には大物作家が同乗する。何とか切り抜けようとする唐傘だったが……。

・罪な女
 小堺の多忙さを解消するためやってきた新人編集者・川原美奈が、熱海圭介の担当となった。無論、圭介は彼女を見た瞬間から舞い上がり、彼女からのメールを嬉しく読んだり、スキップをしてしまったりと、ついうっかり感情をあらわにしてしまう。

・最終候補
 突然、新部署へと移動になった石橋賢一は、衝動的に小説を買ってしまう。しかしその小説で自分で書くことを思いついた石橋は、登場人物を決め、構成を練り、念入りに書き始める。会社や妻からも不振がられるが、ついに完成した小説を文学賞へ応募した。数日後、出版社から最終候補の見込みがある。という電話がかかってきて……。

・小説誌
 編集者、神田の息子ら中学生が、週刊誌『小説灸英』の編集部へと見学に来た。彼らの面倒役を押し付けられた青山は、しぶしぶと案内していく。だが、青山に待っていたのは、彼らからの壮絶な質問攻めだった。何とか解答していく青山。だが、だんだん質問がエスカレートして行く。

・天敵
 唐傘ザンゲの恋人・元子は唐傘の小説の世界一のファンだと自称していた。しかし編集者の小堺にとって、元子は唐傘の小説に口出しするマネージャー気取りでしかなかった。編集長の獅子取までが一番やりづらいタイプ、とまで評する元子と小堺。2人の思いが交錯する。

文学賞設立
 灸英社によって、『天川井太郎賞』という新たな文学賞設立の話が持ち上がった。その文学賞は、独自の視点でエンターテイメントの優秀な作品をたたえるというものだった。だが、敵対している出版社などからは『天井賞』『天丼賞』などと馬鹿にされていた。そんな中、候補作が選ばれたが……。

・ミステリ特集
 『週刊灸英』でミステリ特集を組むことになった。10人の作家に、さまざまなジャンルのミステリを書いてもらう、というまさに十人十色の特集だった。だが、肝心なところで1人の作家が倒れてしまう。ピンチヒッターとして選ばれたのが、まさかの熱海圭介だった。ミステリの書き方を一から学ぶほどの圭介だが……。

・引退発表
 これが最後とまで言われていた賞を逃し、すっかり筆を下ろしてしまった寒川心五郎。しかし自分にきりをつけたいと、編集者の神田を家に呼び寄せ、引退を宣言する。もはや寒川は書かないと思っていた神田は、正式な引退など作家には無いと思っていた。だが寒川は、記者会見を開くなどと口走る。

・戦略
 売れない作家・熱海圭介に、チャンスがやってきた。編集長の獅子取が圭介の小説の妙な味に目をつけたというのだ。獅子取はここぞとばかりに新刊の出来をチャックし、圭介自身にもスタイルの変化を要求する。戦略はどんどん続いていった。ついに発売日となったが、果たしてチャンスはまわってくるのだろうか。

・職業、小説家
 唐傘と元子が、ついに結婚を考え始めた。元子の父は、全く小説を読まない人物だったが、娘の結婚相手が小説家であったことを知り、大いに悩む。現在の唐傘の年収は約400万程度だからだ。それでまともに生活していけるのか。そんなときに、元子が唐傘のマネージャー役として、退職すると言い出したのだ。さらに悩みが深まった父は……。

・巻末広告
 この短編集に出てくる作品、または関連する作品が書かれている。あくまでジョークであり、作者自身によって書かれた。

歪笑小説 - Wikipedia

感想

 大満足でした。読み切るのに一日もかからなかった。
 普段僕たちが見ることのできない文壇という特殊な世界でのドタバタ劇。あくまでもフィクションではあるが、とても興味深い世界だなと。
 ハードボイルドもどきの臭い小説撃鉄のポエムとか虚無僧探偵ゾフィーとか実際に読んでみたい。
 巻末広告の作者の力の入れようには笑ってしまった。
 基本的にはげらげら笑えるが、序ノ口とか職業、小説家みたいないい話もあって読み応えはたっぷり。でも、小説誌とかかなり喧嘩売ってるよなぁ……。


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【読書感想文】 東野圭吾/あの頃の誰か 【2011年刊行】

【概要】

 東野圭吾氏の短編集第三弾。収録作品はバブル時に書いたもので、単行本未収録。あとがきによると「わけあり物件」。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。
 あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。
 東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれれない誰かの物語。
 名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録。


【感想】

 シャレードがいっぱいは、確かに時代を感じさせる。しかし遺言状を巡る展開はとてもスリリングで面白い。
 レイコと玲子は、弁護士の主人公が記憶喪失の女の子を助け……というもの。期待していた落ちとは違っていて若干肩透かしを食らった。
 再生魔術の女は、子宝に恵まれなかった夫婦が養子を迎えようとする。怖いね~、執念というか。
 さよなら『お父さん』は、秘密の原型になったもの。秘密は読んだけど全然覚えてなかったので普通に楽しめた。落ちは切ないね。
 名探偵退場は、科学捜査により昔のようなロマンあふれる事件が起きなくなったと嘆く老探偵の元に、ロマンあふれる依頼が。笑った。
 眠りたい死にたくないは、短くてサクッとしていていいね。でもまあ別に特筆すべき点はない。
 二十年目の約束は、プロポーズの際に「子どもは作らない」約束を交わした夫婦。それには理由があって……。タイトル通りで。悔やんでも悔やんでも、時間が戻ることはないんだよなぁ。

 ざっと感想を述べてみたが、相変わらずとてもおもしろい。東野圭吾作品はクオリティに落差がないよねえ。安心して読めるね。
 短編もいいんです。


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【読書感想文】 高橋源一郎/こんな日本でよかったら 【1996年刊行】

【概要】

 言わずと知れた高橋源一郎氏のコラム。外国人による日本人への素朴な疑問が収録されている。


【内容紹介】

 "Asahi Evening News" に連載されたコラム44篇を収録。氏が日本語で書いた原稿を編集者が翻訳し掲載したもの。単行本の後半半分はその英文版がそのまますべて収録されている。


【感想】

 まず、実質は単行本の半分しか読むところがないことに文句を述べたい。最初開いたとき英文がずらずらっと書かれていて、別の本と間違ったのかと思った。

 素朴な疑問とそれに対する氏の回答はとてもおもしろい。にやにやしてしまう。例に上げてみる。

 日本の大人はなぜ電車やバスで漫画を読むのか。
 日本では酒の席での失敗や失礼には寛容なようだが、なぜか。
 結婚式はキリスト教式、新年には神社を訪れ、葬式は仏式。日本人の宗教観はどうなっているのか。
 パチンコのような退屈なゲームになぜ熱中するのか。
 日本人はなぜカラオケが大好きなのか。
 日本でバレンタイン・デーが盛んなのはなぜか。
 街中で立ち小便をするのはなぜか。

 それに対して氏のときに皮肉を効かせた回答がとてもおもしろい。なので半分しか読むところがないのは許して差し上げよう。


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【読書感想文】 東野圭吾/怪しい人びと 【1998年刊行】

【概要】

 言わずと知れた東野圭吾氏の東野圭吾短編集シリーズ第二弾。

【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 俺は同僚の片岡のデートのために一晩部屋を貸してあげた。その後、そのことを片岡から聞いた2人の同僚、本田と中山にも部屋を貸すことになってしまう。3カ月後のある日、いつものように、車から部屋に戻ると、見知らぬ女が寝ていて…。(「寝ていた女」)
 あなたのそばにいる優しい人が、いつの間にか怪しい人びとに―。
 著者ならではの斬新なトリック満載の傑作推理集。

【感想】

 いや~、予想を裏切らない面白さ。実を言うと、前の犯人のいない殺人の夜を読んですぐに本屋に走って買ってきた。
 んでまあ飯を食うときも文庫本を片手にしていたのであっという間に読み終わったのだが、見事な出来だった。

 この中で一番を決めるなら、結婚報告だろう。
 大学時代の友人から手紙で結婚の報告があった。しかしその写真に写っているのは、友人ではなかった。なにが起こっているのか確かめるために金沢へ飛ぶ。

 このあらすじからもうわくわくする。あれやこれやの一大スペクタクルですよ。

 寝ていた女、灯台にて、コスタリカの雨は冷たいは次点。

 東野圭吾氏の短編ってこんなにおもしろいのに、「東野圭吾は短編はいまいちねえ」なんていうレビューが多いんだろう。次も東野圭吾氏の短編集読みます。


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【読書感想文】 東野圭吾/怪笑小説 【1998年刊行】

【概要】

 言わずと知れた東野圭吾氏の短編集で○笑小説シリーズの第一弾。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い果たしていく「おつかけバアさん」、
 “タヌキには超能力がある、UFOの正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、
 周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇「動物家族」…etc.
 ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間たち! 多彩な味つけの傑作短篇集。


【感想】

 とても笑えた。どれも味があって好きだが、特に気に入ったのは教師たちの同窓会に生徒が招かれる逆転同窓会、空飛ぶUFOはたぬきだという超たぬき理論、手術によって若返った老人のあるジーサンに線香をの三つ。

 特にあるジーサンに線香をは、元ネタであるアルジャーノンに花束をを読んだ時のことを思い出しながら読んで、ラストで同じようにしんみりしてしまった。
 動物家族は落ちが読めた。逆転同窓会はなんか悲しくなってしまった。もし誘いがあっても同窓会には行かないでおこうと改めて決意させられた。

 昔、やたらとハマって読みまくった筒井康隆氏の短編集を彷彿とさせる、怪しい笑いがつまった短編集。東野圭吾の小説を読もうと思って開くとびっくりする。


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【読書感想文】 東野圭吾/犯人のいない殺人の夜 【1994年刊行】

【概要】 (Wikipedia引用)

 光文社から刊行された東野圭吾の短編推理小説
 1985年のデビュー期から1988年の間に『小説現代』『小説宝石』等で掲載された東野圭吾初期の7作品が収録された短編集。
 1990年7月に単行本として刊行され、1994年に文庫化。
 表題作「犯人のいない殺人の夜」は殺人のあった“夜”とその後の“今”の場面を交互に重ねて進んでいく構成となっている。


【内容紹介】 (文庫本裏表紙引用)

 親友が死んだ。枯れ葉のように校舎の屋上からひらひら落ちて。刑事たちが自殺の可能性を考えていることは俺にもわかった。しかし…。高校を舞台にした好短編「小さな故意の物語」。
 犯人がいないのに殺人があった。でも犯人はいる…。さまざまな欲望が交錯した一夜の殺人事件を描いた表題作。
 人間心理のドラマと、ミステリーの醍醐味を味わう傑作七編。


【感想】

 いやー面白いね。デビュー当時の短編集だということを今知った。どれも、どういう流れで悲劇が起こったのかというお話で。後味が悪いのもあって、読み終わったあと「うーーーーーむ」という気持ちになる。踊り子、エンドレス・ナイト、さよならコーチがとても気に入った。

 と、表題作の犯人のいない殺人の夜は読み応えたっぷり。読み終わったあと「のほーーーー」ってなった。
 どの短編も気持ちがよくて「ミステリを読んでるんだな~」と楽しくなるね。

 東野圭吾氏は短編より長編だなんて言われるけれど、短編もいいじゃん。文章は相変わらずすっきりしていて読みやすいし、文句ないよ。


 関係ないけど、なんか【概要】と【内容紹介】の意味がわからなくなってきた。


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